増加傾向にある共働き夫婦。「妻はエリートで高給取り」というケースも少なくありません。このような場合、夫に万が一のことがあった際に受け取れる「遺族年金」に差が生じることも。みていきましょう。
〈月収50万円〉大企業勤務の48歳サラリーマン夫が急逝したが…「遺族年金ゼロの妻」と「遺族年金月16万円の妻」の決定的な違い

大卒・大企業勤務の48歳サラリーマンが亡くなった場合、「遺族年金」はどうなる?

遺族年金には、国民年金に由来する「遺族基礎年金」と、厚生年金に由来する「遺族厚生年金」の2種類があります。

 

まずどちらにも共通する要件が、亡くなった夫と「生計維持関係」にあったかどうか。これは「①生計を同一にしていること」「②自身(遺族年金を受け取る人)の年収が一定額以下であること」が条件になります。

 

①は配偶者や子の場合は、「住民票上同一世帯に属しているとき」「住民票上、世帯を別にしているが、住民票上は同じ住所であるとき」「住民票上、住所は異なっているがA、またはBいずれかに該当するとき」です。

 

A.現に日常生活をともにし、かつ、消費生活上の家計を1つにしていると認められるとき

B.やむを得ない事情により住所が住民票上異なっているが、「生活費、療養費等の経済的な援助が行われていること」「定期的に音信、訪問が行われていること」が認められ、その事情が消滅したときは日常生活を共にし、消費生活上の家計を1つにすると認められるとき

 

②の収入要件は「①前年の収入が年額850万円未満であること」「②前年の所得が年額655.5万円未満であること」であり、一時的な所得があるときは、これを除き、①または②に該当している必要があります。さらに定年退職などにより近い将来(5年以内)に、収入が①または②に該当する場合は、収入要件を満たしていると認められます。

 

さらに保険料の納付要件などを満たしていれば、「遺族基礎年金」であれば配偶者、または子に遺族基礎年金の受給権が発生します。

 

遺族厚生年金は、「①配偶者または子」「②父母」「③孫」「④祖父母」と、優先順位が高い人が受け取ることができます。 

 

すべての要件をクリアしたとして、どれほどの遺族年金を手にできるのか……仮に48歳のサラリーマン夫が亡くなった場合について考えてみましょう。要件に該当する子は2名、そして給与は亡くなった時点で月収50.8万円、年収882.2万円と、大学卒業後に大企企業に就職。以来、平均的な給与を手にしてきたとします。

 

遺族基礎年金は81万6,000円(令和6年度)に子の加算額、1人23万4,800円を足した額になります。遺族厚生年金は、死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4。この場合、69万0,606円になります。合計197万6,206円。1ヵ月あたり16.5万円ほどとなります。