2人の受験生を抱える「サラリーマン家庭」…ある夜、夫が突然
今年に入り、ひとつ年下の夫の様子が少しおかしかったという43歳女性。ただちょっとした違和感の理由が分からずもやもやしているなか、突然、その日は起きたといいます。
ある夜、夫はいつも通りの時間に帰宅。玄関のチャイムが鳴り、女性が鍵を開けます。
――OO(長男の名前)とXX(次男の名前)は塾?
――そうよ
そんないつも通りのやり取り。しかし突然、夫は女性に対して土下座。「えっ!?」と、あまりの衝撃に言葉を失ったという女性。続けて夫は涙ながらに言います。
――すまない、会社をやめさせてくれ!
――ふたりとも中学受験を控えているのに……本当にごめん
そういったあとの夫は、何を言っているか分からないほどの涙声に。落ち着かせて話を聞いていくと、
――上司のパワハラがヒドイ
――耐えきれず、会社に相談したが何も変わらず
――もう辞めるしか方法はない
現在の上司が夫の部署に異動してきたのは半年ほど前のこと。異動当初から、何かとものを言いやすい(雰囲気の)夫に対して、事あるごとに言葉での攻撃があったとか。夫の訴えに対して人事部が聞き取りをするなどして対応してくれたが、社内のパワハラ規定が曖昧で何も変わらず。そのことがきっかけでさらに風当たりはひどくなったとか。それでも耐えてきたのは、来年中学受験本番を迎える長男と、その翌年に中学受験を控える次男の存在。
――これから色々とお金がかかるから……仕事を辞めるわけにはいかないだろ
ここまで耐えてきた夫を思い、女性も涙が出てきたとか。翌日、夫を連れて心療内科へ。軽いうつ状態と診断されましたが、夫をこのまま働かせるのは危険だと判断した女性。「家族のためにも会社をやめて」と伝えたといいます。
株式会社ワークポートが全国の20代~40代の男女を対象に行った『パワハラ被害の実態についてのアンケート調査』によると、「現在の勤務先(または直近の勤務先)で、パワハラを受けたことがあるか」の問いに対して、実に65.5%が「ある」と回答」。その内容を聞いてみると、最多は「暴言・侮辱(言葉の攻撃)」で78.5%でした。また「パワハラを受けたときどうしたか」の問いに対しては、「誰にも相談せず我慢」が最多で46.4%。一方で、ほかは上司や家族・友人、同僚などに相談をしています。しかし「パワハラ対処後」について聞いたところ、「解決しなかった」が59.1%、「誰にも相談せずに我慢した」が28.9%。結局「解決した」はわずか12.0%でした。
【受けたことのあるパワハラ…上位7】
1位「暴言・侮辱(言葉の攻撃」78.5%
2位「能力の過小評価・成果を認めない」44.3%
3位「過剰・過酷な業務の強制」:37.2%
4位「無視・仲間外れ」31.2%
5位「業務をさせない・与えない」26.6%
6位「労働者の権利侵害」25.6%
7位「プライベートの介入」25.2%
※複数回答
さらに「勤務先(または直近の勤務先)でパワハラ防止に関する取り組みが行われているか」と聞いたところ、「はい」は44.3%。半数以下となりました。
このようにみていくと、「いまどきパワハラなんて……昭和か!」と言われることもありますが、程度の差はあれど、いまだにパワハラで悩んでいる人は多いことが分かります。