ほ、欲しい…
そのころ、ちょうど車検のタイミングもあって、車を買い換えるかどうか迷いながらも販売店に見に行ったところ……欲しくなってしまったそうです。車の購入にかかる費用は約320万円……。
住宅購入の手付金で、まとまったお金を出したばかりで、長男が目指している高校は私立です。なにかと入り用のなか、Mさんと妻は、子ども達の教育資金はしっかり確保しておきたいと考えています。
しかし、車の販売担当者が紹介してくれた金融機関のオートローンも金利は1.5%と低く、妻もパートの仕事が決まったので、5年間だけ車のローンが5万円ほどあっても問題ないだろうと思いました。Mさんは、NISAで資産運用を始めていたこともあり、低金利のいまは借りられるなら借りたほうがいいと考えたのです。
「6,200万円まで借りられるのだから、5,500万円の住宅ローンに300万円の車のローンがあっても大丈夫だろう」と、車もローンを利用して購入しました。
住宅ローン本申し込みの審査結果は融資金額減額!
その後、5,500万円のローンで本申し込みをすると、「5,500万円の借入れはできません。5,000万円までの借入れが可能です」と融資金額が減額された結果が帰ってきました。
事前審査で、住宅ローンは購入物件価格が借入金額の上限だとしても、Mさんの年収では6,200万円まで借りられるはず。それにもかかわらず1,200万円も減額されたのはなぜなのでしょうか?
「車のローンは、4分の1の300万円なのに……」Mさんはこのタイミングで車を買ったことを悔やみつつ、資金計画を見直さざるを得なくなりました。
「本審査」は事前審査よりも厳しくチェックされる
「ローン特約」もしっかり理解しておきましょう。
事前審査では自己申告で済ませられた年収の金額も、本審査では公的書類の収入金額を基に審査を進めます。そのため、事前審査と本審査で申込内容(年収・勤務先・ほかの借入れなど)に変更があった場合は非承認や減額されることがあります。
Mさんの場合
事前審査:ほかの借入れ なし
本審査 :ほかの借入れ あり 車のローン(年間返済金額 62万円)
と、返済比率に変更があったのです。返済比率とは、年収のうち、すべての借り入れの年間返済金額合計が占める割合のことで、下記の計算式をもとに算出します。
(当該住宅ローン年間返済金額+そのほかの借り入れの年間返済金額)÷年収
たとえば、「フラット35」(住宅金融支援機構)の場合、年収400万円以上の場合、返済比率は35%以下であることとしています。また、返済比率を算定するための「借入れ」は、今回申し込む住宅ローンのほか、自動車ローン、教育ローン、カードローン(クレジットカードによるキャッシング、商品の分割払いやリボ払いによる購入を含む)など指すとあります※。
「返済比率」は年収によって審査基準を変えるなど金融機関によってはさまざまですが、おおむね30~35%となっています。住宅ローンは将来の変動に備えて適用する金利よりも高めの「審査金利」を使って返済比率を算出しています。この「審査金利」も金融機関によって異なりますが非公開とされています。