高給取りの「医師」でも3割が将来に不安…4人に1人が「70代でも働きたい」
平均1,000万円超えの医師。しかもこれは、被雇用者としての医師。つまり勤務医です。開業医の場合は、さらに給与は高水準になるでしょう。
それだけ高給取りなのだから、さぞかし、将来も安泰なんだろうな……と思いがちですが、医師本人らは、それほど将来を楽観視していないようです。
株式会社エムステージ「Dr.転職なび」「Dr.アルなび」が医師に対し行った『将来のキャリアやお金に関するアンケート調査』によると、「お金/働き方/プライベートに関して、不安を感じることはあるか」の問いに対して74.6%が「不安あり*」と回答。不安に感じる項目は何かと尋ねると「お金」が最多で43.3%でした。つまり3割強の医師が「お金に関して不安を感じている」ということになります。
*「漠然とした不安がある」61.4%、「明確な不安がある」13.2%の合計
さらに「将来、何歳まで働きたいか」の質問に対しては、最多が「70歳以上」で24.5%。次いで「年齢にかかわらず、生涯現役として働きたい」が23.6%、「65~69歳まで」が22.6%と続きます。現在、会社員の定年は60歳が主流で、さらに再雇用で65歳まで働くというのが一般的。さらに法改正で70歳までの雇用が努力義務とされ、年を重ねても働ける環境は日に日に整いつつあります。
ただ高齢になっても働きたいという思いの裏にあるのは「将来に対する不安」。
――長寿化するなか、どんなに貯蓄があろうと長生きすれば枯渇してしまうのではないか
――年金がもらえなくなってしまうのではないか
そのような不安から「働けるうちは働いて、給与をもらいたい!」というケースが増えているのです。逆をいうと、潤沢な資産があれば働きたくないというのが本音です。
これは高給取りの医師も同じ。「将来長く働きたい理由」として、具体的な声に耳を傾けていくと、
――年収の維持、子供の学費やローンが残っているから(60代医師)
――老後の資金を貯めるため(60代医師)
――年金が少ない(50代医師)
一般の会社員と同じ不安や悩みをもっていることが分かるでしょう。
高給を目指し、十分に蓄えて、早く現役を引退したい……会社員であれば、一度は思い描くこと。しかし平均年収1,000万円超えの医師でさえ、「将来はお金が心配」と不安を募らせています。つまり年収1,000万円超え程度では「将来不安が拭えない」というのが、日本の現実なのです。
もはや「死ぬまで働くこと」が、全国民の既定路線といっていいでしょう。淡い夢を抱くのはやめて、覚悟を決めてしまったほうが楽かもしれません。
[参考資料]