中長期保有に適した「注目株」の見分け方とは?
他にこんな事例もあります。
2023年4月に上場したispaceという宇宙ベンチャーです。月面探査プログラムのミッションの成功を期待し、株価は公募価格の9倍、初値から2週間で2倍以上に上昇しました。しかし、月面への軟着陸に失敗し、株価は急落し1ヵ月足らずで3分の1ほどになりました。成功すればさらに人気になる可能性がありましたが、失敗というリスクに対して株価は下落するしかありませんでした。
これは開発型薬品ベンチャーにも当てはまります。開発が途中で打ち切りになったりすれば期待値で上がっていた株は一瞬で急落してしまいます。
また、そーせいという創薬ベンチャーがあり、糖尿病の抗肥満薬を注射ではなく飲み薬のタイプで行えるとして、とても期待されて株が買われていました。しかし開発の打ち切りが決まってしまい、株価は3日で半値になったのです。
こういった株は、短期で勝負する場合にはいいのですが、中長期で株を保有するのには向きません。業績の中期的な成長が「今ないものが成功すれば」という期待値だけで株価が形成されているからです。
特殊技術が必要で、新規参入しづらい分野の会社は業績が伸び続けます。参入障壁の有無も吟味する基準になりますので、覚えておいた方がいいです。特殊技術を持つなど、注目すべき会社のポイントは、次の3つです。
②他社にはない技術やブランドを持っている
③リピートされやすい
この3つの基準をクリアしている会社の1つが、東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドです。レジャー産業はいろいろありますが、ディズニーの世界観は世界中を魅了します。毎年のように入場料を値上げしていますが、値段がいくら高くても満喫したい人たちが大勢います。年に何回も行く人も多いです。
数ある世界の車業界で時価総額世界TOP10の常連にフェラーリがあります。超高級車ですがこれもブームではないです。あの独特なエンジン音と洗練されたデザインは絶対的なブランド力であり、フェラーリ愛好家は買い替えてもまたフェラーリを選択する方が多いといいます。
また、ユニクロを展開するファーストリテイリングも昔フリースブームで業績が振り回される時代がありましたが、現在は機能的でファッション性が高く比較的値段の安い衣料品を扱う店舗として世界に認識されました。ファストファッションの世界ではH&MやZARAが世界的に有名ですが、ユニクロは日本だけではなく、中国でも成功し、今やファッションの聖地ともいえる欧米でも成功を収めています。
衣料品は一定の買い替えニーズが発生する業種であり、品質に納得感が強まればリピートされる確率も自ずと上がります。
このようにビジネスモデルの中に、リピート客を育てる工夫がある会社も伸びるのです。
長谷川 伸一
ファイナンシャルアドバイザー