2. 収入に大きな変動がある家計(育休・転職・起業など)
次に注意が必要なのは、「今後のライフイベントで、大きな収入減少が起こる可能性がある家計」です。理由は、育休・転職・起業などが挙げられます。
育休に関しては、期間中の支給額が休業開始前の賃金の約50~70%と大幅に減るので、家計に与える影響が大きくなります。また育休期間を終えても、保育園が見つからず職場復帰できないといった場合もあります。
転職に関しては、未経験分野への転職や役職が下がることにより、想定以上に収入が減る可能性もあります。
起業に関しても、毎月収入がある会社員とは違い、自営業者は売上予測が立てづらいため、収入が途絶えたり貯蓄を切り崩したりする可能性があります。また公的保障が少ないため、働けなくなることでの売上減少も大きな痛手となります。
このように大きなライフイベントを控えている場合、固定費削減など家計をコンパクトにした上で、新NISAで資産運用することをおすすめします。そしてある程度働き方や収入・売上が安定してきた段階で、iDeCoを検討しましょう。
特に自営業者は公的年金が少ないので、自分で老後に向けて備えていきましょう。
3. 収入が少ない家計(所得税・住民税払っていないなど)
最後に注意が必要なのは、「収入が少ない家計」です。iDeCoの最大のメリットは、所得税や住民税の節税効果ですが、そもそもそれらの税金の負担が少ない場合は、節税の恩恵があまりありません。むしろ、60歳以降まで引き出せないということが負担となる場合もあります。
また専業主婦(夫)など収入がない場合、そもそも税金を払っていないので、節税の恩恵はありません。
このように収入が少ない場合、まず万が一に備えた生活費の確保を最優先にしましょう。目安としては会社員であれば生活費の3か月~半年分、自営業者であれば1~2年分を預貯金で準備しておきましょう。
その上で、可能な範囲で新NISAで資産運用することをおすすめします。比較的リスクの少ない債券が含まれたタイプ(バランス型)などを中心に、少額から始めてみましょう。
家計タイプに合わせた資産形成で備えよう
今回紹介した3タイプとも、60歳まで資金が引き出せないiDeCoのデメリットが大きく影響する家計タイプでした。しかし何も対策しなくて良いわけではなく、その家計タイプに合わせた適切な家計管理、新NISAの活用が必須となります。
まずはご自身の家計タイプを知り、どの期間にお金が足りなくなるのかを把握しましょう。そしてその期間に合わせて、新NISAがいいのかiDeCoがいいのかを見極めながら資産形成を進めてみてください。
金子 舞
ファイナンシャル・プランナー