大人が“現金”を使って見せるのが、子どもがお金を知る「始めの一歩」
子どもたちは、大人を見てマネすることで生活に必要なことを学んでいきます。筆者が子どもの頃は、親がお店のレジで“お金を払って→モノと交換する”という場面を日常で見ることで、お金は生きるために大切なものとして、その重みをしっかりと感じていたものでした。お金はお金という機能だけで存在し、手に握って感覚を味わえる、とてもシンプルで、子どもにとってもわかりやすい身近な物でした。
それが今では、スマホやカードをピッとしたらモノが手に入り、スマホでポチっとしたら次の日にはモノが玄関に届く時代。子どもたちが“お金”を目にする機会が少ないため、お金の存在自体が軽く見え、軽い気持ちで使うようになる可能性は否めません。キャッシュレス決済の中でもスマホ決済は多機能すぎて、アプリで支払う機能はあるものの、“お金”という重要な役割があることを感じにくいという特徴があります。
スマホ1つで買い物に出かけられる便利さを知ってしまった私たち大人ですが、子どもたちにキャッシュレスと現金を上手に使い分ける場を見せてあげることで、適正な金銭感覚を育むきっかけをつくりたいものです。そして、当たり前の光景として見せるのではなく、「今、こんな支払い方法をしたよ」と、“使った現場で”丁寧に伝え続けることが大事なのではないでしょうか。
子どもに伝えたいキャッシュレスの基本
では、具体的に何を伝えるべきなのでしょうか? 我が家では、キャッシュレスで支払うときの行動1つ1つを分かりやすく具体的に実況をしています。
①支払い時にカード決済やスマホ決済のやり方を見せる
②現金払いの時と同じく、レシートで支払ったことを一緒に確認
③カードや決済アプリの利用履歴、銀行アプリなどの画面を一緒に見てお金が減っていることを確認
この流れの他、特にトラブル回避のため心掛けている、以下の2点について伝えています。
【セキュリティ対策】
- スマホやカードは絶対に人に貸さない
- 定期的に利用履歴を確認して、身に覚えのない支払いがないか確認
【使い過ぎないための予算管理】
- ニーズとウォンツは現金のときより意識する
- 予算を超えて使ってないか残高は使うたびに確認
- キャッシュレス決済手段はいくつかに限定し明瞭に
そして、大人でも混乱するほど日本のキャッシュレス手段は多種多様なサービスがあります。子どもにも親が使っている手段はこういうものだと、少しずつ伝えてみましょう。将来、なんとなく周囲が使っているから使うのではなく、各仕組みを理解した上で、大事にしたい価値観に応じて選択し、使い分けするスキルも身に付けていってほしいと思っています。以下の[図表1]にまとめました。
上記のように、お金が手元から離れ、支払われるタイミングによって3つの種類に分かれます。前払いと即時払いは、“今ある”お金の限度内でしか使えませんが、後払いは“今はない”お金を一時的に借りることができる仕組みなので、お金の上手な使い方を学び、“信用”ある大人になってこそ使えるものだと伝えています。
また、スマホにダウンロードした決済アプリを利用して支払うスマホ決済がありますが、利用するアプリやサービスによって前払い・即時払い・後払いのいずれに対応するかが変わるので注意が必要です。気軽に使いがちなスマホ決済で後払いになる場合は、特に気を付けましょう。