大儲けを狙ってFXで勝負をかけるも…
山上重朗さんは64歳、定年を迎えて現在は大手メーカーの嘱託営業として働いています。結婚してもうすぐ40年ですが、子供はいません。子育て費用がかからなかった分、貯蓄をしやすい環境のはずが、老後の生活に不安を抱えているそうです。
実は山上さん、リーマンショックが起こった2008年ごろ、軽い気持ちで始めたFXで、取り返しの付かない大損失を出していました。わずか数日で1,000万円以上を溶かしてしまい、買い換えたばかりのマンションも手放していたのです。
当時のFXは規制が緩く、何百倍ものレバレッジをかけることができました。山上さんは、短期間で大儲けできる可能性のあるFXに、強い魅力を感じたといいます。
試しに100万円で始めてみると、何となく持ったポジションが大当たりして、わずか1週間で2倍に。これで自信を持った山上さんは、ほかの投資や貯蓄を取り崩して1,000万円以上をかき集め、FXに本格的に取り組み始めました。
大きな資金でトレードをするようになってからは、一度のトレードで100万円を超える利益が出ることも少なくなかったとのこと。一時的に資産が大きく増えたタイミングもあったそうですが、好調が長続きすることはなく、すぐにプラスは損失で消えていたそうです。
そしてFXを始めてから数ヵ月が経ったある日、「東京市場は穏やかなのに、欧州や米国の市場が開くと一気に円高に動く(山上さん談)」という流れに巻き込まれ、200万円の含み損を抱えることになってしまいます。流れが悪いとは思いつつもナンピン(ポジションの追加)をしますが、その後も円高は止まりません。
ナンピンによりレバレッジがさらに高まったことで、損失は驚くスピードで急拡大。わずか数日のうちに、投入資金のほとんどが吹き飛んでしまいました。
住宅ローンを抱えるなかで全財産を失ってしまった山上さんは、マンションを手放さざるを得ませんでした。FXで大金持ちになるという夢が叶わなかったどころか、生活レベルを大きく落とすことになってしまったのです。