婚姻の約4件に1件が「再婚」となっている日本。そのうちの2~3割程度は子連れでの家庭を築いています。複雑化する家族の形のなかで、問題となるのが遺産相続。本記事ではAさんの事例とともに、再婚家庭における相続の注意点について、株式会社アイポス代表の森拓哉CFPが解説します。
「面倒を看てくれてありがとう。全財産3,000万円は愛娘へ」80代父の死後、なぜか銀行から門前払いを受ける長女…世間知らずな親子に訪れた悲劇【CFPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

感情面で大きなためらいがある「養子縁組」

戸籍における関係をあまり重視せずに、実際の人間関係のなかで生きていくということは当然にありえる話なのですが、その状態はともすると単なる赤の他人という関係になってもしまいます。

 

養子縁組というのは法律的な権利義務の関係が生じることになること以外に、感情面での課題が生じる可能性がありますから、決して簡単な判断とはいえないでしょう。それでもAさんを親身にお世話したCさんが、蚊帳の外の人になってしまうという現実は、ともに暮らして支えてきた経緯を考えるとあまりにやるせない事態ではないでしょうか。

 

Aさん、Cさんはどうすればよかったのでしょう? 非常にシンプルな答えとして、遺言書を書いておくということが挙げられます。遺言書さえあれば、万が一Aさんの弟たち兄弟が遺言書の内容に不平不満があったとしても、兄弟姉妹には遺留分という最低限の遺産を請求できる権利はありません。

 

遺言書のとおりに遺産をCさんが受け取ることができます。また、月日が流れたなかでの養子縁組であれば、再婚当時と大きく気持ちも状況も違うでしょうから、Aさんの晩年にきちんと養子縁組をしておくということもひとつの選択肢です。いずれにしろ、Aさんが元気なうちにしておく必要がある手続きです。

 

「遺言書」「養子縁組」という言葉だけを見ていると難しくて、ハードルが高く感じる心理的プレッシャーがあるかもしれませんが、内容のシンプルな遺言書であればさほど難解なことではありません。養子縁組の手続きも複雑な手続きではないのです。

 

元気なうちに意思表示をして、築き上げた新しい家族、親子関係の思い出、感謝の気持ちのなかで暮らして、人生をまっとうしたいものです。人生を生ききるうえでの準備、そのうえでの必要な手続きは必ずやっておきたいものですね。
 

※本記事は、実際にあった出来事をベースにしたものですが、登場人物や設定などはプライバシーの観点から変更している部分があります。また、実際の相続の現場は、論点が複雑に入り組むことが多々あり、すべての脈絡を盛り込むことは話の流れがわかりにくくなります。このため、現実に起こった出来事のなかで、見落とされた論点に焦点を当てて一部脚色を加えて記事化しています。

 

 

森 拓哉

株式会社アイポス 繋ぐ相続サロン

代表取締役