結婚・出産を機に、仕事を辞めるか、それとも続けるか。また働き方を変えるか、変えないか……女性とって大きな選択です。一方、正社員とそれ以外では、生涯年収では大きな差となりますが、配偶者を亡くした後の年金額にはそれほどの差はない、という現実があります。みていきましょう。
年金夫婦で月31万円だったが…70歳夫を亡くした元・共働き妻、預金通帳の「年金受給額」に2度泣いたワケ「何かの間違いでは?」

元・共働き妻、専業主婦とそれほど「年金額」が変わらないという事実

さらに夫を亡くした、元・共働き妻が涙するのは、結婚・出産を機に専業主婦になった友人と、年金額を比べたときにも訪れます。

 

30歳で専業主婦になった友人は、10年分の厚生年金の加入歴があり、わずかではありますが、老齢厚生年金が受け取れます。その額、月1.6万円ほど。併給の国民年金と合わせると、月8.4万円が支給されます。そして彼女も年金月17万円の夫を亡くしたとしましょう。

 

遺族厚生年金は1.6万円が支給停止となり、月6.05万円。自身の国民年金と合わせると、月12.85万円となります。

 

60歳まで正社員で頑張った、元共働き妻は「月14.85万円」。対し、専業主婦は「月12.85万円」。その差、月2万円となります。

 

少々納得いかない部分もありますが、「まあ、こんなものでしょ」と言い聞かせる、元共働き妻。しかし続きがあります。それは年金の手取り額。老齢年金は雑所得で課税対象であるのに対し、遺族年金は非課税です。

 

共働き妻の場合、老齢年金部分の手取り額は12.6万円。そこに遺族年金がプラスされ、合計12.85万円。一方、専業主婦の場合、老齢年金は年147万円以下であれば非課税となるので、天引きされるのは社会保障費のみ。それを加味すると、合計12.0万円。両者に大きな差はなくなります。

 

――えっ、専業主婦の人と、そんなに変わらないんですか?

 

年金が振り込まれる預金通帳を眺めながら、もらえる遺族年金がわずかであることに涙し、さらに専業主婦と比べて、その差がわずかであることに涙する……本人の年金額によっては専業主婦のほうが振込額が多いケースも珍しくはなく、思わず「何かの間違いでは?」と疑問を呈しても仕方がありません。

 

――あのとき、専業主婦を選択したほうが良かったのかな……

 

そんな後悔をしてしまう事実です。

 

[参考資料]

内閣府『令和5年版男女共同参画白書』

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

日本年金機構『遺族年金』