いままで家事なんてやってこなかったから……そんな妻を亡くした夫。1人暮らしに不安を募らせるなか、ひとつ選択肢が「老人ホームへの入居」です。そこで問題になるのが入居費用。マネープランが甘く、周囲に迷惑をかけてしまうことも珍しくはないようです。
79歳「年金月18万円」の父だったが…52歳のひとり娘「わたし、老後破産するかも」と絶望する「老人ホーム請求額」

おひとり様の生活が苦痛だった70代の父「老人ホーム入居」を決断したが…

――「老人ホームに入る!」と宣言した父を止めるべきだった

 

そう後悔の念を投稿した52歳の女性。今年、79歳になる父が、自分で見つけたという老人ホームへの入居を決めたのは、かれこれ5年前。家事をほとんどしてこなかった父にとって、母が亡くなり1人となった毎日は重労働の連続だったとか。そこで食事も掃除も洗濯もしてくれて、介護や医療体制もバッチリな老人ホームなら楽だし安心、決断したといいます。

 

女性の父が考えるマネープランは、以下の通り。「お金の心配はいらんよ」と豪語していたとか。

 

●入居一時金3,000万円

→貯蓄から一括払い

●月額費用(費用に含まれていないものも含む)

→年金「月18万円(手取り)」と、貯蓄からの取崩し「月8万円」

 

ところが想定外の事態が女性の父を襲います。それは昨今の「値上げ」。まず燃料費の高騰により、ホームの水道光熱費と管理費が値上げ。さらに人手不足解消のために人件費も膨らんだとかで、月額費用全体が20%ほどの値上げとなったそうです。

 

さらに「そもそも父のマネープランは甘々だった」と女性。支援・介護を必要としない父は、ホームでも活発に活動。その分、レクリエーション代などが別途かかり、毎月、想定していたよりもプラス2~3万円、多い時で5万円ほど多くの費用がかかっていたといいます。

 

そのような状況に、昨今の物価高が襲ったというわけです。株式会社Speee/「ケアスル 介護」による『介護施設の費用はいくら?老人ホームの費用アンケート』によると、「老人ホームの費用を誰がどのように負担しているか」の問いに対して、最多は「入居者自身の貯金と年金」で57.7%。「入居者自身の年金」が33.3%。8割強が入居者自身で何とかしているという状況。一方で「子供世帯が負担」が11.0%。自分では払うことができずに、子どもに頼らざるを得ない入居者も珍しくはありません。

 

「このままでは、あと数年で貯蓄が底をついてしまう」と、ひとり娘である女性に泣きついてきた父。仕方なく、一部、女性が肩代わりすることになりました。

 

現在、老人ホームからの請求額は、通常は毎月30万~35万円ほどですが、さらに5万円ほど高いときも。

 

――ちょ、ちょっとお父さん、先月、何に使ったのよ!

 

と、老人ホームから引落しがされる預金通帳をみて、思わず言葉を失い、そして父を問い詰めるひとり娘。最近はよくある光景だといいます。

 

女性の毎月の負担は5万~10万円ほど。年齢的に、自身の老後を見据えて貯蓄を本格的に進めないといけません。

 

ジブラルタ生命保険株式会社が20~69歳の男女に行った『おひとりさまに関する調査2022』によると、「現在の貯蓄額」は平均707万円。「100万~200万円未満」が13.8%、「500万~1,000万円」が11.2%、「1,000万~2,000万円」が8.3%と続くなか、最多は「0円」で23.1%。独身生活を謳歌していると思われがちなおひとり様ですが、このままでは将来が危ういという人も珍しくはありません。

 

女性も将来を考えると、まだまだ貯蓄は心許ないのでしょう。それにも関わらず父の老人ホーム費用を一部肩代わりしなければならず、しかも、それがいつまで続くことになるかも分からない……「このままだと私、老後破産するかも」と毎日、不安を募らせているといいます。

 

[参考資料]

株式会社Speee/「ケアスル 介護」『介護施設の費用はいくら?老人ホームの費用アンケート」

ジブラルタ生命保険株式会社『おひとりさまに関する調査2022』