いまや「定年後も働く」がスタンダードなスタイル。高齢者にはどんどん働いてもらって、人手不足を解消しよう! という国の目論見も見え隠れしています。しかしそこで問題になるのが年金制度。どうも納得できないことが多いようです。みていきましょう。
43歳〈月収38万円〉サラリーマン急逝で遺族年金〈月14万円〉のはずが…年金事務所から「遺族年金は払えません」の連絡に、子育てママ「何かの間違いでは?」

夫急死で「遺族年金の請求」を行ったが…まさかの「手続き保留」

――それまで家計を支えていた人に先立たれる

 

号泣の子育て中の妻。準備をする時間があればまだ何とかなりますが、急な出来事であれば、「どうやって、この子を育てていこう……」と、途方に暮れることでしょう。そんな遺族にとって、十分な額ではないにしろ、支えになるものです。

 

しかし「遺族年金の請求をしたからといって安心はできない」と経験談を語るのは小学低学年の男子と親子二人暮らしだという38歳の女性。昨年、5つ上の夫を急に亡くしたといいます。亡くなった夫は月収38万円ほどで、計算すると「月14万円」の遺族年金(基礎年金、厚生年金の合計)が受け取れることが分かったといいます。

 

年金事務所で遺族年金の請求手続きを済ませ、あとは実際に年金が振り込まれるのを待つのみ……しかし、その後、年金事務所から「手続きは保留」と電話が……つまり「遺族年金は払えない」という事態に、「えっ、何かの間違いではないですか?」と、驚きの声を挙げてしまったといいます。

 

実は亡くなった夫とは正式に籍はいれておらず事実婚。遺族年金は、内縁関係だったり、別居していたりしていても、生計同一関係を証明できれば受給されます。女性の場合、その証明書類が足りず、手続きが保留になっている……ということだったといいます。

 

このような場合、「ほかに資料はない」というと、生計同一関係が認められず、遺族年金を受け取れない可能性があります。たいてい、年金事務所から「こんな資料はないですか?」とリクエストがくるので、それにあった資料を提出すればOK。無事、手続きは完了し、遺族年金を受け取ることができるようになります。女性の場合も、追加資料を提出し、少々遅くなったものの、遺族年金の支給は始まったといいます。

 

遺族年金において、請求の肝となる「生計同一関係」。事実婚の場合、健康保険等の被扶養者になっているなら「健康保険被保険者証等の写し」、給与計算上、扶養⼿当等の対象になって いるなら「給与簿または賃⾦台帳等の写し」など、ケースによって求められる証明書類があり、それに合わせて手続きを行います。一度、不可となると、その決定を覆すのは至難の業。事前相談をするなど、万全な状態で手続きに望みたいものです。

 

[参考資料]

厚生労働省『年金制度基礎調査(遺族年金受給者実態調査)令和3年』

日本年金機構『遺族年金に関する届出・手続き』

日本年金機構『⽣計同⼀関係証明書類等について』