いまや「定年後も働く」がスタンダードなスタイル。高齢者にはどんどん働いてもらって、人手不足を解消しよう! という国の目論見も見え隠れしています。しかしそこで問題になるのが年金制度。どうも納得できないことが多いようです。みていきましょう。
65歳「月収40万円」のサラリーマン〈年金停止〉に憤り「繰下げ受給」を選択も、70歳でまさかの〈年金減額〉に「何かの間違いでは?」

定年を迎えても「働き続ける」が、いまどきのスタイル

厚生労働省『令和4年就労条件総合調査』によると、定年制を定めている企業は94.4%。そのうち、一律定年制を定めている企業は96.9%。つまり全企業の91%が、一律定年制を導入しています。

 

では何歳が定年かというと、最多は「60歳」で72.3%、続いて「65歳」が21.1%。つまり、60歳をひとつの区切りにする企業は全体の66%ほど、65歳を区切りとしている企業は全体の20%弱というのが現状です。

 

定年制を導入する一方で、定年後に再雇用などで同じ会社で働き続けらえる制度を導入する企業も増えています。そのようななか、一律定年制を定めている企業のうち、最高雇用年齢を定めている企業は55.1%。そのなかで「65歳」とするのが64.7%、「66歳以上」とするのが31.7%でした。

 

とはいえ、70歳まで働けるよう整備することが企業の努力義務となっている昨今、希望すれば結構な年齢まで現役でいられる世の中になりつつあります。

 

また定年後の働き方で考えたいのが雇用形態。同じ会社で働くには、再雇用で契約社員や嘱託社員に転換というケースが多いですが、あくまでも正社員にこだわりたい、という人も少なくないようです。

 

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』で、60代の正社員と非正規社員の給与を比較すると、月収で10万円弱、年収で110万~130万円程度の差が生じます。「働く以上、しっかりとした対価をもらいたい」という人であれば、非正規社員よりは正社員、といったところでしょうか。

 

【60代サラリーマン「正社員と非正規社員」の給与比較】

■60~64歳

正社員:37.2万円(39.6万円)/571.5万円

非正規社員:28.5万円(30.4万円)/434.4万円

■65~69歳

正社員:33.1万円(34.8万円)/468.2万円

非正規社員:25.4万円(27.0万円)/355.2万円

※数値左より、月収(手当て込みの月支給額)/賞与や手当てなどを含んだ年収