62歳の3ヵ月前に年金機構から送られてくる「緑色の封筒」。非常に重要な通知です。あなたは該当者でしょうか? 本記事ではB子さんの事例とともに、知らない人も多い「特別支給の老齢厚生年金」について、FP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
「年金80万円」もらえるはずが…元会社員、自分だけ62歳の3ヵ月前に年金機構から「緑色の封筒」が送られてこず、焦燥【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

通知を必死に探すも、見つかる気配はなく…

B子さんは、家に帰ってA子さんが言うような通知を必死で探しました。しかし、ない、ない……。どれだけ探しても通知は見つかりません。自分がどのくらい長生きするかはわからないため、もらえる年金は1円でも多くもらっておきたい……。そんな心情でした。

 

B子さんは、大学卒業後60歳まで公務員として勤務してきました。A子さんと同じ「第2号被保険者」として厚生年金に加入していたので、自分もきっと受け取れると思ったようですが、2人のあいだには一体どんな差があるのでしょうか?

 

B子さんに通知が来ない理由

支給開始年齢になっても年金請求書が届かない場合、日本年金機構に登録されている住所地が現住所と異なる等の理由から届いていない可能性があります。勤務先を退職したあとに結婚して住所や姓が変わってしまった人は、連絡先がわからずに通知が届かないケースが多いものです。そのような場合は、近くにある年金事務所や年金相談センターに問合わせる必要があります。

 

しかし、B子さんのケースでは、通知が届かない理由は住所変更ではなく、別に理由がありました。

 

B子さんは、たしかにA子さんと同じ第2号被保険者として厚生年金に加入していましたが、2015(平成27)年10月に年金の一元化が実施されるまでは、公務員等は厚生年金ではなく共済年金*でした。

*国家公務員共済組合、地方公務員等共済組合、私立学校教職員共済

 

「特別支給の老齢厚生年金」も「特別支給の退職共済年金」として制度がありました。公務員も一元化後に受給権が発生すると、厚生年金保険の被保険者同様「特別支給の老齢厚生年金」として支給されます。ただし、受給開始年齢については従来の特別支給の退職共済年金同様、男女差はありません。

 

出所:国家公務員共済組合連合会HP
[図表2]特別支給の退職共済年金の支給開始年齢 出所:国家公務員共済組合連合会HPより※2

 

そのため、B子さんのような公務員の場合、女性であっても昭和36年4月2日以降に生まれた方は特別支給の老齢厚生年金受給権がありません。通知が来ないのは当然ということです。