62歳の3ヵ月前に年金機構から送られてくる「緑色の封筒」。非常に重要な通知です。あなたは該当者でしょうか? 本記事ではB子さんの事例とともに、知らない人も多い「特別支給の老齢厚生年金」について、FP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
「年金80万円」もらえるはずが…元会社員、自分だけ62歳の3ヵ月前に年金機構から「緑色の封筒」が送られてこず、焦燥【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

男性も知っておくべき!離婚時の「年金分割」

C子さんは、23歳で会社員と結婚し、48歳のときに離婚しました。C子さんは「年金が半分もらえると聞いたのに全然半分じゃなかったわ。当てが外れちゃった」といいます。

 

平成16年(2004年)の年金制度改革により、平成19年4月(2007年)から「離婚時の年金分割制度」が実施されました。夫婦が婚姻期間中に納付した年金保険料による年金は夫婦の共有財産とみなされますので、離婚によって年金を分割して受け取れるようにする制度が「年金分割」です。ただし、対象になるのは厚生年金部分のみで、国民年金は対象外となります。

 

また、分割の対象期間は原則婚姻期間に限られますが、事実婚の場合も認められる制度です。

 

年金分割には「合意分割」と「3号分割」の2種類があります。

 

合意分割制度

離婚をし、一方または双方からの請求によって、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割することができる制度です。割合は話し合いによって決定しますが、合意が得られなかった場合は家庭裁判所の審判または調停によって判断が下されます(最大50%)。

 

3号分割制度(平成20年4月施行)

離婚をし、国民年金の第3号被保険者であった方からの請求によって、平成20年(2008年)4月1日以後の婚姻期間中の第3号被保険者期間における相手方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を2分の1ずつ、当事者間で分割することができる制度です。話し合いの必要はなく、自動的に50%の割合となります。

 

Cさんは専業主婦(第3号被保険者)でしたが、3号分割制度の場合、対象期間が短くなってしまうため、合意分割制度によって請求したそうです。

 

なお、年金分割の請求期限は離婚後2年以内となっています。さらに、離婚後に相手が死亡した場合は、死後1ヵ月が請求期限となってしまいます。また、分割を受けた者は、自身の受給開始年齢に達しなければ年金を受給することができません。
 

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表