大学時代の就職活動の失敗が、今なお後を引く「就職氷河期世代」の諦め
男性の月収は月35万円ほどなので、一般的な大卒・中小企業勤務のサラリーマンの平均を下回る水準。一方で旧友が勤める会社の平均給与は1,000万円超と、WEBで軽く調べるだけで教えてくれました。東京と地方、大企業と中小企業……さらに旧友は完全に高給取り。「給与、安っ!」と驚かれても当たり前のことです。
――まだ大丈夫だから、転職でも考えてみたら
と、旧友に発破をかけられたといいますが、男性は「ははっ」と、その気のない返事をするに留まったといいます。
――(もう手遅れなんだよな……)
遡ること大学時代。就職活動はいまでは想像できないくらいの厳しさでした。いわゆる就職氷河期。バブル崩壊後の1993年から2005年に学卒・就職活動をしていた人たちは、就職氷河期世代と呼ばれています。若年失業率が10%前後と高い水準だったころで、超氷河期とされる2000年は大卒就職率は55.8%、大卒の学卒無業者は22.5%に達しました。
男性も就職活動において内定がなかなか出ず、一旦は、実家に戻ることを決意。このときたまたま受かった地元の中小企業に入社が決まり、現在に至るといいます。
もちろん、すべての人が就職に失敗したわけではなく、一流とされる企業への就職を勝ち取り、順調にキャリアを積んでいった人もいます。男性の旧友がまさにそのタイプです。そう考えると、就職氷河期世代は、ひと際「給与格差」が大きな世代ともいえるでしょう。
男性は状況が良くなったらもう一度上京し、旧友のように勝ち筋にのろうと考えていた時期もあったといいますが、地元で結婚し子どもが生まれ家も購入と、生活基盤が地元に出来上がった今となっては、東京に出るなんて夢のまた夢。また転職できたとしても、地元で少し給与のいい企業が関の山だと男性。転職活動の労力に合わず、現状維持が最も効率的だと男性はいいます。
大学時代の同級生の中には、フリーターとして社会に出ていまなお浮上できずにいるものや、一度は就職したものの途中で脱落し、引きこもり気味になったものもいます。「上を見たらキリがない」と男性。とにかく今は定年まで勤め上げることしか頭にないといいます。
[参考資料]