「病気の再発」というAさんが抱える最大のリスク
実はここが最もリスクが高い状況だとFPが指摘します。
Aさんは生命保険等にまったく加入していなく、身体障害時の保障を持っていません。状態によって障害年金を受給できますが、それだけで生活できるほどの額は支給されません。Aさんの病歴で身体障害時に生活を支えてくれる保険に加入できる商品は、現時点ではどの保険会社にもありません。
Aさんが生命保険に加入していなかったのは、YouTubeで「保険は不要」と主張している有名人の言葉を信じたため、と言います。たしかに4,000万円の貯蓄があれば入院やがんを保障する保険は不要かもしれません。しかし生活のリスクは人それぞれに特有のものがあり、リスク対策の専門家の家計分析を行ってから判断すべきでした。
Aさんが今後やるべきこととしては、
・仕事に復帰し定年退職まで勤め上げられるよう、健康に留意する
・今後の状況(結婚や同棲の予定)を見極めてから、中古住宅などをキャッシュで買えるように準備していく
・身体障害を負い仕事が出来なくなった場合に備えて、貯蓄を増やす
・同僚のサポートを受けられるよう、日ごろからコミュニケーションに励む
当たり前の対策しかありません。しかし健康の不安を抱えてこれらを考えていくのは酷というもの。まずは仕事に復帰し続けられることが優先です。
「孤独死しないのが一番なので、これからやれることから取り組みたいと思います」とAさんが言います。
結婚、同棲を人生の選択肢に入れるメリット
生涯未婚で生きるというのも、生き方のひとつです。収入がしっかりあれば一人で生きていくのは十分に可能です。
しかし、病気やケガなどによって収入が途絶えてしまったとき、そのリスクを対策するものを備えておく必要があります。貯蓄、保険など、やれることを整理する必要があります。
また、人生の困難な時期にともに過ごしていける伴侶の価値を、もう一度選択肢として考えてみてもいいかもしれません。
「結婚など無意味」と言い切るのは簡単ですが、精神的な支えがありがたいと思えるときがくるかもしれません。何歳であっても、どんな状況であっても、結婚という形を取らなくても、パートナーがいる人生は精神面でも金銭面でもプラスになりえます。
長岡 理知
長岡FP事務所
代表