2024年3月19日、日本銀行は金融政策を決める会合で、マイナス金利政策を解除する見直しを決定しました。マイナス金利解除で多くの消費者が最も気になる点としては、今後、住宅ローン金利がどうなるかというところでしょう。本記事では、Aさんの事例とともに金利の付く世界における変動金利について、FP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
日銀マイナス金利解除に戦々恐々…世帯年収800万円の30代共働き夫婦、が絶句した「5年後の住宅ローン返済額」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

最悪のケース「未払い利息」

それでは、金利が大幅にアップした場合はどうなるか、試算してみましょう(ボーナス返済なしで計算しています)。

 

(例)借入金額4,000万円 35年ローン 

■金利0.5%で借り入れ
毎月の返済額:10万3,834円 
(初回の内訳 元金部分:8万7,167円 利息部分:1万6,667円)

■3年後(返済37回目)に金利4.0%に上昇


本来であれば、

 

毎月の返済額:17万227円 
(85回目の内訳 元金部分:4万7,430円 利息部分:12万2,797円)


となるのですが、5年ルールにより、

 

毎月の返済額:10万3,834円 
(85回目の内訳 元金部分:0円  利息部分:10万3,834円)


と、元金部分はゼロ、返済額の全額が利息のみとなってしまいます。しかし、本来支払わないといけない利息部分は10万3,834円ではなく、12万2,797円です。

 

払えなかった差額の利息分1万8,963円はどうなると思いますか? 金融機関がサービスしてくれるわけではありませんよ(金融機関も「商売」です!)。

 

差額の1万8,963円は後日支払うべき金額として、元金と同様に先送りとされてしまいます。つまり、いつかは必ず払わないといけない金額となるのです。これを「未払い利息」といい、変動金利型ローンでは一番怖いケースになります。本来はこの「未払い利息」のリスクまで理解して、変動金利型ローンは利用するべきなのです。

5年ルール・125%ルールは「時代遅れの制度」

なかには、「そんなに金利は上がらないよ」と思っている人もいらっしゃるでしょう。しかし、これまでの住宅ローンの超金利は「マイナス金利政策」と「金融機関同士の住宅ローン競争」からきているものでした。マイナス金利が解除されることで、今後一部の金融機関が金利を上げるなどしだすと、ほかの金融機関も追随して上げていく可能性がないとはいえないのです。

 

数十年という長期間の住宅ローンでは、今後金利が上昇すると返済額が増えることも考えて、あらかじめ余裕資金などの貯えをしておく必要があります。変動金利型ローンを利用する場合は、

 

・固定金利型ローンと併用する
・借入期間を短くする
・借入金額を小さくする

 

というように、変動金利型ローンのリスクを抑えるようにしましょう。

 

以上のように、変動金利型ローンの5年ルールや125%ルールは元本や利息の先送りを発生させる危険性があり、将来の返済額が増えてしまうデメリットがあります。昔の「年功序列」のように、会社に居続ければ収入が右肩上がりで上がっていく時代は終わりました。

 

勤め続けることで収入が上がるのであれば、住宅ローンの返済額が上がっても怖くはありませんが、いまの時代のように能力や成果が重視されるようになってくると、将来のローンの返済額アップは不利になります。つまり、5年ルールや125%ルールは、ローン契約者にとっては問題点のある「時代遅れの制度」ともいえるでしょう。

 

こういった理由からか、変動金利型ローン商品で、5年ルールや125%ルールを採用しない金融機関も出てきました。

 

変動金利型ローンをすでに利用している方やこれから利用しようと思っている方は、5年ルールや125%ルールを採用しているローンかどうかを確認しておきましょう。

 

もし、これらのルールがないローンの場合は、半年に1度の金利見直し(ほとんどの銀行で4月と10月の年2回、適用金利の見直しが行われます)で、返済額が上昇してしまうので、元金返済の先送りはありませんが、注意が必要です。

 

まずは、返済額がどのくらい上がるのか、どのくらいまでの上昇なら耐えられるのか、いろいろとシミュレーションしてみてくださいね。

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表