2024年3月19日、日本銀行は金融政策を決める会合で、マイナス金利政策を解除する見直しを決定しました。マイナス金利解除で多くの消費者が最も気になる点としては、今後、住宅ローン金利がどうなるかというところでしょう。本記事では、Aさんの事例とともに金利の付く世界における変動金利について、FP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
日銀マイナス金利解除に戦々恐々…世帯年収800万円の30代共働き夫婦、が絶句した「5年後の住宅ローン返済額」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

125%ルール

実際の返済額は5年ルールによって5年間は同じ返済額で抑えられますが、その後に返済額が急上昇した場合は、やはり返済が滞ってしまうリスクがありますので、返済額が上がっても1.25倍までに抑えよう、という「125%ルール」があります。

 

ですが、この125%ルールも5年ルールと同様に、利息は優先してしっかり取られることが前提となっています。具体例でみていきましょう。

 

たとえば、住宅ローンの返済がスタートしたあとの7年後に金利が上昇したケースでご紹介します(ボーナス返済なしで計算しています)。

 

(例)借入金額4,000万円 35年ローン 

■金利0.5%で借り入れ
毎月の返済額:10万3,834円 
(初回の内訳 元金部分:8万7,167円 利息部分:1万6,667円)

■7年後(返済85回目)に金利3.0%に上昇


本来であれば、

 

毎月の返済額:14万3,306円 
(85回目の内訳 元金部分:6万1,932円 利息部分:8万1,375円)


となるのですが、125%ルールの適用で、

 

毎月の返済額:12万9,793円(10万3,834円の1.25倍)
(85回目の内訳 元金部分:4万8,418円  利息部分:8万1,375円)


となってしまい、元金の返済が大幅に減ってしまいます。このように、カットされるのは元金部分だけとなりますので、返済額がアップしても、住宅ローン残高はなかなか減らない、という状況に陥ってしまいます。

 

なお、いくら返済額が抑えられるとしても、5年ごとに1.25倍ずつ返済額が上昇していくのは、家計にとってはかなり厳しいのではないでしょうか。もし、連続で1.25倍に返済額がアップした場合、たとえば、毎月10万円だった返済額は、5年後には12万5,000円、さらにその5年後には15万6,250円になるということです。

 

こういったことも考えて、いくらまでなら家計の負担にならないかを考えておいたほうがいいでしょう。