専業主婦はズルい!といわれる理由
「(パート勤務含め)専業主婦はズルい」とはよくいわれるもの。これは「第3号被保険者制度」によるもので、制度が始まったのは1986年4月。専業主婦世帯が共働き世帯よりもだいぶ多かった時代で、女性の年金権を確保することを目的に、厚生年金の被保険者の配偶者を国民年金の強制適用の対象としました。しかし現在、共働き世帯が1,000万世帯を超えるなか、専業主婦世帯はその半分程度。共働き世帯が優勢となり「時代にそぐわない制度」として、見直しや廃止が議論されるようになったのです。
制度の問題点としては大きく4つ。
1. 共働きや単身世帯、片親世帯と比べ、専業主婦世帯を優遇している
2.パート労働者等の就業調整の原因となっている
3. 高収入世帯の専業主婦は保険料負担能力を有しているが、保険料を支払わないのは不公平である
4.働けないのでなく、自ら働かない第3号被保険者の分まで保険料を払わなくてよいのは不公平である
特に不公平感が強いのは3と4に関して。第3号被保険者の年金保険料は第2号被保険者全体で支える仕組み。総務省『2023年 家計調査 家計収支編』によると、専業主婦世帯の平均月収(勤め先収入)は53万5,976円、共働き世帯の平均月収は69万0,701円。共働き世帯のほうが1.3倍の収入があります。
一方で、専業主婦世帯(年収の壁を超えずに働いている、パート妻世帯も含む)の場合、 保険料は月1万6,520円(令和5年度)。年間換算すると19万8,240円を、第2号被保険者全員で払っているということになります。
――おれは独身なのに、なんで他人の妻(夫)の分まで保険料を払わないといけないんだ!
――なんで働いていない人の分まで、保険料を払わないといけないんだよ!
専業主婦世帯が少数派となったいま、そんな不平・不満の声が大きくなって聞こえてきても、仕方のないことかもしれません。