加速度的に進行する少子高齢化は、さまざまな問題を引き起こしています。そのひとつがタクシードライバーの不足。解消に向けて色々な打開策が明らかになっていますが、利便性も高まると期待されていますが、一方で少々不安に思うものも。みていきましょう。
終電を逃した深夜1時…月収37万円・44歳サラリーマン「タクシーで帰るか」から始まる恐怖体験

タクシー乗り場に長い列…いよいよ自分の番がきた

寒さも厳しくなってくる12月。新宿で42歳サラリーマンの会社の忘年会が始まったのは夜7時。そこから2次会、さらには3次会と続き、気付けば時計は0時半。

 

――まずい!終電が……

 

と一瞬焦りましたが、どうしようもないことに気付きクールダウン。「仕方がない、タクシーで帰るか……」と、飲み会のお開き後にタクシー乗り場へ向かいました。そこにはすでに長い行列。

 

――自分と同じように終電を逃したであろうサラリーマンがこんなにいるのか

 

待つこと20分、深夜1時を過ぎて、ようやく自分の番がまわってきました。ドアが開き乗り込むと「どこまで行きますか?」とドライバー。「青葉台の駅まで」「東急の?」「そうです」そんなやり取りをしていると、ふと、ドライバーが随分と高齢であることに気付いたといいます。

 

――ドライバーさん、おいくつですか?

 

――今年、74です

 

――あっ、ちょうど30歳、先輩ですね。こんな夜中まで、すごいですね……

 

――夜は暗くてよく見えんですよ(笑)

 

ドライバーの冗談も本気に聞こえ、スッと酔いが冷めたとサラリーマン。「怖いので降ります」とはとてもいえず……

 

――じゃあ、出発しますよ。シートベルト、付けてください。

 

ドライバのひと言で、タクシーは発車。

 

――(結構、運転が荒いな)

 

国道246号線を爆走すること1時間。緊張して、道中のことはあまり覚えてないといいますが、普段よりも20分も早く着いたとか。料金は1万円超。平均的な給与しかもらってないという男性(厚生労働省によると大卒正社員で平均月収37.0万円、年収616.2万円)には痛い出費でした。

 

そんな忘年会後のエピソードを話しながら、「最近は、タクシードライバーも高齢化なのかね」と男性。法人の場合、会社によってまちまちですが「60~65歳」を定年とすることが多いようですが、個人タクシーの場合は定年という概念はありませんが、営業で必要な事業許可の更新が75歳以降はできないので「定年75歳」ということができるでしょう。

 

しかし、ドライバーの高齢化に加え、担い手が不足していることもあり、全国的にタクシードライバー不足が深刻化。なんとか問題を打破しようと、政府は個人タクシー運転手の年齢上限を80歳に引き上げ、現在、人口30万人以上の地域でのみ営業が認められているのを過疎地でも認める方針を明らかにしています。