なぜ「新NISAはやめておけ!」といわれるのか?
新NISAのスタートで、いまだかつてないほど資産形成への興味・関心が高まっていますが、ネットで「新NISA」と検索すると、「やめておけ」「デメリットしかない」という検索ワードも。どういうことなのでしょうか。色々な主張がありますが、よくいわれているのは以下の7点です。
1.元本割れするリスクがある
新NISAに限らず、投資である以上元本割れのリスクは付きまといます。NISAは金融庁が長期投資・分散投資に適している銘柄を選択していますが、元本を保証するものではありません。どのような銘柄でも元本割れリスクがあることを視野に入れておく必要があります。
2.損益通算ができない
利益と損失を相殺することである損益通算。特定口座や一般口座などの課税口座では、損失が出ても他取引で得た同年分の利益と相殺することができます。しかしNISAでは損益通算が認められていないため、損失を有効活用する方法がありません。
3.現行NISAから新NISAへロールオーバーできない
現行NISAでは、NISA口座の保有商品の非課税期間が終了した際に、翌年の非課税投資枠に移行できるロールオーバーが認められています。新NISAの非課税期間は5年間でロールオーバーすれば最大10年間の非課税での運用が可能。しかし現行NISAから新NISAへのロールオーバーはできないことを欠点としてあげる声が聞かれます。
4.口座変更をしても保有商品を移管できない
新NISAでは年単位で金融機関の変更が可能ですが、保有商品の移管はできません。新NISAの口座を複数保有すると管理に手間がかかります。
5.投資先を考える手間が増加
新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能で非課税枠も増えたため、投資先の選択肢が増えました。自由度を増したことをメリットと捉える専門家がいる一方で、資産形成においてはデメリットと唱える専門家もいます。
6.非課税投資枠の無限化/拡大で売り時を見誤る
現行NISAの非課税期間は有限なので、「終了が近づいてきたタイミングで売却を検討する」という判断ができました。新NISAでは非課税投資枠が無限化されたことで、売り時に迷うケースも。結果、大きな損失を被る可能性が高いという専門家も。また非課税投資枠が拡大されたことで、枠を埋めようと投資し、結果リスクを取りすぎるという声も。
7.一般NISAの対象商品が一部除外される
新NISAのつみたて投資枠の対象商品はつみたてNISAと同じですが、成長投資枠は一般NISAの投資対象から「整理・管理銘柄(上場株式)」「信託期間20年未満の投資信託」「毎月分配型の投資信託」「デリバティブ取引を用いた一定の投資信託」が除外されます。現行NISAで運用していた場合、新NISAでは同じ商品を購入できない場合があります。
どこかもてはやされた感がある新NISAですが、色々なリスクやデメリットがあります。それらを理解せずにいると、思わぬ事態に直面する場合も。まずは基本的な知識は身につけてからスタートすること。新NISAに限らず、投資の大前提です。
[参考資料]
金融庁『NISA・ジュニアNISA口座の利用状況に関する調査』
株式会社バイアンドホールド『スタート1カ月での新NISA利用の実態調査』