出世コースに歩んでいたサラリーマン、突然の転落劇
管理職になることを望むか、望まないかは別として、サラリーマンにとって昇進は、給与を増やすための正攻法。誰もが順調に出世コースを歩んでいけるわけではなく、頂点へと上り詰めることができるのは、ほんのひと握りのエリートだけ。
しかし、順調に歩んでいた出世コースが急に途絶えてしまうこともあるようです。
――同期の中でも出世頭だったのにな、あいつ
とある、同期会でのひと言。出世頭というのは40代で部長にまでのぼりつめた同期のこと。その同期は先日、退職したといいます。前述にあるような、部長の中でも頂点に君臨するような勝ち組エリートだったといいます。そこに本人登場。同期から退職理由を聞かれると
――降格、減給。その額に「何かの間違いではないですか」と聞いた
――もちろん交渉の余地はあったけど面倒になった
エリートからの転落。そんな状況に陥ったのは「会社の合併」によるものだといいます。2つ以上の会社を1つの法人格に統合する合併には、大きく「吸収合併」と「新設合併」の2種類がありますが、手続きが煩雑なこともあり、吸収合併が多く活用されます。
働く側としては、合併により心配になるのは「リストラ」。基本的に労働関係を含めたすべての権利義務が継承されるため、合併を理由にした社員のリストラは認められていません。しかし、組織再編で余剰が生じれば、配置転換、希望退職などが行われ、整理される可能性も。
また合併により、給与などの待遇面は、一般的にどちらか一方の労働条件に統一されます。実際は年単位の移行期間が設けられ、給与においては高いほうに合わせるパターンが多いようです。ただしまったく新しい給与制度になるケースもあります。
前出の男性の場合、会社合併による組織再編で部長のポストが足りなくなり、男性が降格対象に。減給についても相談があったとか。強要ではなかったものの、どこか居づらさも感じ、退職を決めたといいます。
経済産業省『2022年 企業活動基本調査』によると、2021年度、組織再編を行った企業は1,805社。そのうち合併が668社、事業譲渡が237社、事業譲受が236社、会社分割が229社、株式交換・株式移転が227社と続きます。
勤めている会社がいつまでもあるとは限りません。もし合併などで条件が悪くなりそうなときには、退職して新天地を求めるのもひとつの手です。
[参考資料]
ビジネスコーチ株式会社『昇進・昇格に対するポジションおよび役職別の意識の差についての調査