年収別に年金を計算して比較
それでは、実際に3人の年金を計算して比較してみましょう。
年金を計算するためには、報酬月額から当てはまる標準報酬月額を求めないといけません。まずは、単純に年収から月額を計算して、厚生年金保険料額表(令和5年度版)※から標準報酬月額を求めます。
Aさん 年収 500万円の場合
月平均額:約41万6,000円 24等級 標準報酬月額41万円
Bさん 年収1,000万円の場合
月平均額:約83万3,000円 32等級 標準報酬月額65万円
Cさん 年収1,500万円の場合
月平均額:約125万円 32等級 標準報酬月額65万円
標準報酬月額には上限があるため、報酬月額が63万円以上の場合は、いずれも32等級の標準報酬月額65万円となります。なお、毎月の保険料もこの標準報酬月額から計算しますので、BさんもCさんも同じ厚生年金保険料を払っていることになります。Cさんは「なんで俺とBが一緒なんだ」と驚いていました。
年金もこの標準報酬月額を使って計算してみましょう。2003年3月以前の平均標準報酬月額まではわかりませんので、単純に加入の全期間を前述の『(ii)2003年4月以降の被保険者期間』の計算式を使って計算してみます。
Aさん 年収 500万円の場合
標準報酬月額41万円× 5.481/1,000×38年(22歳~60歳)×12ヵ月
=約102万4,000円
Bさん 年収1,000万円の場合
標準報酬月額65万円× 5.481/1,000×38年(22歳~60歳)×12ヵ月
=約162万4,000円
Cさん 年収1,500万円の場合
標準報酬月額65万円× 5.481/1,000×38年(22歳~60歳)×12ヵ月
=約162万4,000円
上限がありますので、年収が1,000万円でも1,500万円でも同じ年金額になってしまいますね。さらに年収500万円の人と比べると差額はわずか60万円。月額では5万円しか変わりません。
Cさんは「あんなに控除で引かれてきたのに。俺の3分の1しか年収がない人と月にたったの5万円しか変わらないなんて……。これじゃあ、なんにも報われない……」とショックのあまり、膝から崩れ落ちてしまいました。
ちなみに比較しやすいように、年収750万円のケースでも計算してみましょう。年収750万円の場合の標準報酬月額は、31等級で標準報酬月額は62万円となります。
年収 750万円の場合
標準報酬月額62万円×5.481/1,000×38年(22歳~60歳)×12ヵ月
=約154万9,000円
以上を基礎年金と合わせて、一覧にまとめてみました。
あくまでも概算での計算です。給与やボーナスを過去までさかのぼって計算するのは実際には困難です。くわしく知りたい方は、日本年金機構から毎年届く「ねんきん定期便」を参考にするか、日本年金機構の「ねんきんネット」を利用するようにしてください。