マイホームを検討する際、頭金ゼロですぐに購入する場合と、ある程度貯金をして頭金を用意する場合では、どちらのほうがメリットが大きいのでしょうか? 本記事ではFP1級の川淵ゆかり氏が、Aさん夫婦の事例とともにシミュレーションに基づき、頭金アリナシで住宅ローンの借入金を比較します。
世帯年収550万円の地方在住30代夫婦、「月10万円」余裕があるが…夫の親との同居生活を「あと5年」我慢して続ける理由【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

頭金ゼロで購入するか? 頭金を貯めて購入するか?

地元で幼なじみの女性と結婚した35歳男性のAさんは、現在はAさんの両親と同居していますが、同じ敷地内に一戸建てを夫婦用に新築することを考えています。ふたりの世帯年収は約550万円です。

 

結婚のために貯蓄はほとんどなくなってしまいましたが、毎月10万円程度は住まい用に出せるため、すぐに建て始めるか、それとも頭金を5年ほど貯めたあとに建てるかで悩んで相談に来られた方です。

 

老後の生活が心配なAさんは、「借入金を少しでも減らすために、頭金を貯めてから家を建てよう」と言います。一方で、奥さんは「そんなに変わらないんじゃないの? いまの家をでられるなら早く出たいし。40歳でローンを組むよりも35歳で組んだほうがいいんじゃない?」と意見がわかれています。

頭金ゼロと頭金ありをシミュレーションで比較

Aさんが言うように、毎月10万円を住まいの費用として使えるのであれば、

 

・頭金ゼロですぐに毎月10万円返済の35年ローンで住まいを購入する。
・毎月10万円を5年間貯蓄し、5年後に30年ローンで住まいを購入する。

 

といった方法が考えられます(いずれも完済年齢は70歳)。どのくらい差が出るのか、試算してみました。

 

(1)頭金ゼロですぐに毎月10万円返済の35年ローンで住まいを購入する場合
毎月10万円の返済だと、金利1.960%で約3,000万円を借りることができます。
3,000万円を35年ローンで借りた場合、毎月の返済額は9万8,764円、総返済額は約4,148万円となります。

※フラット35 2024年2月の最頻金利で算出

 

(2) 毎月10万円を5年間貯蓄し、5年後に30年ローンで住まいを購入する場合
毎月10万円を5年間貯蓄していくと、元金だけで600万円を作ることができます。
これを頭金とすれば、借入金額は600万円減らすことができ、2,400万円の借り入れに減らすことができます。
2,400万円を30年ローンで借りた場合、毎月の返済額は8万8,229円、総返済額は約3,176万円となります。

※フラット35(1)と同じ金利で算出

 

どちらもローン完済年齢は70歳ですが、(1)の頭金ゼロの場合は、利息分で1,100万円以上の支払いになるのに対し、(2)の頭金を貯めた場合は毎月の返済額を1万円以上も減らすことができ、利息分も700万円程度となり、400万円も違ってきます。

 

400万円も利息分が変わることを聞いて、奥さんはビックリします。「400万円は大きいね。その分を老後のための資金に回すことができるし。あと5年くらい我慢しようかしら」

 

なお、比較のために同じ金利で計算をしましたが、フラット35の場合、頭金を1割以上準備することで、金利を下げることができますので、さらに返済額を減らすことができます。こういった点からも、頭金を準備することはメリットがあります。