出世街道を順調に歩んできた「勝ち組サラリーマン」の給与額は、平社員とは雲泥の差。周囲から羨望の眼差しが注がれることでしょう。しかし、そんな人が将来手にする年金額にも羨望の眼差しが注がれるかといえば、そうではないようです。本記事では年収の異なる3人のサラリーマンの年金見込み額について、FP1級の川淵ゆかり氏が比較・解説します。
膝から崩れ落ちました…年収1,500万円の59歳・勝ち組サラリーマン、見下していた年収500万円の幼馴染の〈年金見込み額〉を知って悲鳴「なにも報われない」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

現役時代の年収が高くても老後に向けて油断しない

どんなに年収が高くても、受け取れる年金額は大きく差が出ないことがわかっていただけたと思います。

 

さて、老後が大変なのは、3人のうち誰でしょうか? 単純に考えると一番年金額の低いAさんのようですが、老後に苦労するのは一番年収の高いCさんかもしれません。理由は「生活レベルを落とすことは簡単ではないため」です。生活レベルの高い人が月20万円の生活に慣れるのは大変です。

 

年収が高いと貯蓄も十分あるかもしれませんが、老後資金の確保は必要ですから、場合によっては年金の繰下げ受給も検討しましょう。受け取り開始時期を1ヵ月遅らせるごとに、受け取る年金の額は0.7%増えていきます。たとえば、
 

・1年遅らせて66歳から受け取る場合:8.4%増額(0.7%×12ヵ月分)
・5年遅らせて70歳から受け取る場合:42%増額(0.7%×60ヵ月分)
・10年遅らせて75歳から受け取る場合:84%増額(0.7%×120ヵ月分)

 

繰り下げる場合は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々に遅らせることも可能です。なお、加給年金*は、老齢厚生年金を繰り下げようと遅らせているあいだは受け取れませんので注意しましょう。

 

* 加給年金とは、年金受給者が65歳未満の配偶者や18歳未満の子どものいる場合、経済的に支えていくための年金で扶養手当と同様の役割を持ちます。

 

また、加給年金は、繰り下げた老齢厚生年金の受け取りを開始しても、増額の対象になりません。65歳になったときに加給年金を受け取れそうな人は、繰下げが本当に有利かどうか試算して決定しましょう。
 

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表