「要介護認定」が出たAさんの母
地域包括支援センターの窓口で相談をすると、担当者はAさんの母にどの程度サポートが必要かチェックします。
その結果、「要介護認定を取りましょう」ということになりました。要介護認定を取ればケアマネージャーがついてくれるようで、県外に住むAさんにとっても安心です。
その後無事に要介護認定が出たAさん母は、週に2回ヘルパーが自宅に来てくれるようになりました。当面は配食の手配などを行い、Aさん自身は月に1回程度帰省して帰って様子を見ることに。実家を売却し施設に移ってもらう話については、「この状態の母に言ってもしょうがない」と思い、心にしまいました。
不動産業者から告げられた「衝撃の事実」
上記の生活にも少し落ち着いてきたころ、Aさんは母を施設に入れるべく、そろそろ実家売却に向けて動き出しました。
不動産業者を訪れ、「実家を売って母を施設に入れたいのですが」と相談したところ、担当者から衝撃のひと言を言われてしまいました。
担当者:「売却を希望されているご実家の所有者はどなたですか?」
Aさん:「母です」
担当者:「なるほど。お母さまは認知症とお聞きしましたが」
Aさん:「はい」
担当者:「とても言いにくいんですが……認知症と診断されてしまうと、『本人に判断能力がない』として、財産の処分を行うことができないんです」。
Aさん:「えっ?」
担当者:「ですので、売却するには『成年後見制度』ですとか、そういったものを使うしかないのですが……」
これ以降のやり取りは頭が空っぽになり、耳に入りませんでした。
え、売却できないの? なにかの間違いだろ……? いまのままの生活を続けるのは自分の体力的にもしんどい。だけど、放置するわけにもいかない。家に引き取るといっても家族は疲弊してしまうだろうし、母にとってもストレスだろう。自分はこれからどうしたらいいんだ……。
悩んだ末、Aさんは筆者のFP事務所を訪れたそうです。