認知症になるとできなくなること、6つ
母親の認知症が発覚した場合、とてもショックだと思います。
しかし、すでに起きてしまったことですので、やはり適切に対応をしていかなくてはなりません。Aさんがなにを準備していれば困らなかったか、そしてこれからどういった対策が必要かについて、一緒に確認していきましょう。
あらかじめ認識しておきたいのは、認知症は「病気」であるということです。ダイエットなどのように、本人の努力で改善されるものではありません。できることが1つずつ減っていく親を目の当たりにすると、その事実をすぐには受け入れられないのは当たり前です。
しかし、受け止めきれない感情を親にぶつけるなどしてしまった結果、余計に症状が強く出るケースもあります。そのため、認知症が発生した場合、家族の理解が必須です。
家族が認知症になったら、まずは地域包括支援センターへ
家族が認知症になった際は、Aさんのように、まずはお住まいの管轄の地域包括支援センターに相談しましょう。そこで介護申請を行うと、その後、認定調査と主治医の意見書をもとに審査され、要介護度が決定されます。
要介護認定を受けることにより、国の介護サービスが1割負担で受けられるようになります。
ただし認知症の場合、身体機能に問題が少ない場合もあり、「介護が必要ない」あるいは要介護度が低く判断されるケースもあります。そのため、現在の状況を医師や担当者に具体的に説明することが大切です。
また、担当してくれるケアマネージャーの専門によっても個別の対応が異なるため、認知症に詳しい担当をお願いすることも有効です。
家族が認知症になると、下記のようなことができなくなります。
①金融機関の取引……銀行預金の引き出し、振込、解約など全般
②証券口座の取引……株や債券などの取引全般、NISAも含む
③不動産の取引……売却、購入、貸す、借りる、建て替え、測量、工事など
④贈与……現金、住宅や教育などの資金贈与
⑤相続関連……遺言を書く、修正、信託など
⑥生命保険……契約締結、契約変更、解約など
特に銀行や証券会社といった金融機関は、預けている本人の財産を適切に守る義務があります。身内であってもお金を勝手に使い込むケースもあるため、金融機関は慎重な対応を取らざるを得ないのです。
口座が凍結されたあとは、不動産会社が言っていたように「成年後見制度」を活用するほか方法がありません。しかし、後見人の選定に長い時間がかかることや、ランニングコストがかかることから、すぐに活用を決めるのも難しいでしょう。
したがって、家族が認知症に“なったあと”ではなく、“なる前”の準備が非常に大切です。