高給取りのサラリーマンが感じる、3つの「所得の壁」
年収1,000万円を超える高給取りのサラリーマン。しかし至る所で、世の不条理を感じることがあります。
子育ての所得制限
子育て世帯を支援するための児童手当。0歳~中学校卒業まで子どもを養育している一定所得以下の世帯に支払われます。満額で受け取れる世帯の場合、手当額は3歳未満で月1万5,000円、3歳~小学生までが月1万円(第3子以降は1万5,000円)、中学生は一律月1万円です。
児童手当法の改正で、2022年10月支給分より、高所得者世帯における児童手当の特例給付が廃止されました。対象は夫婦いずれかの年収が1,200万円を超える世帯ですが、この年収はあくまでも目安。
扶養親族等の数(前年12月31日時点)が0人(前年末に生まれていない場合など)の場合は、所得制限限度額は858万円。年収に換算すると1,071万円。1人の場合は所得896万円で年収にすると1,124万円、2人の場合は所得934万円で年収にすると1,162万円、3人の場合は所得972万円で年収にすると1,200万円です。この年収を超えると、児童手当はゼロになります。
教育の所得制限
昨今、東京都で高校授業料実質無償化と話題になっていますが、そもそも国のほうで「高等学校等就学支援金制度」があり、所得に応じて授業料を支援しています。
公立高校の支給上限は年11万8,800円、私立高校は39万6,000円です。公立高校で子どもの1人(扶養控除対象者が1人の場合)の場合、年収約1,030万円以下が支給条件。私立高校の場合は、同じく子どもの1人で、年収約660万円以下が支給条件となります。年収1,000万円を超えるサラリーマンの場合、居住地などにもよりますが、高校実質無償化の恩恵を享受できない可能性が高いといえます。
医療の所得制限
病気やケガなどで高額な医療費がかかった場合に、一定額以下に自己負担を抑えてくれる「高額療養費制度」。対象となる1ヵ月の自己負担限度額は年齢や所得に応じて変わります。
69歳以下の場合、「年収約370万円~約770万円」であれば、医療費の上限額は世帯ごとに月額「8万0,100円+(医療費-26万7,000円)×1%」、「年収約770万円~約1,160万円」であれば月額「16万7,400円+(医療費-55万8,000円)×1%」、「年収約1,160万円以上」であれば月額「25万2,600円+(医療費-842,000円)×1%」となります。仮に手術費用が100万円だったとすると、年収500万円のサラリーマンであれば負担額は8万7,430円。一方、年収1,000万円のサラリーマンの場合の負担額は17万1,820円。倍近く違います。
このように、さまざまなシーンで、所得制限という壁を感じざるを得ない年収1,000万円を超える高給取りサラリーマン。羨望の眼差しが送られるものの「それほど楽ではない……」というのは確かなようです。
[参考資料]