遺族年金の落とし穴…「共働き妻」の年金額と「専業主婦」の年金額のが逆転現象
「亡くなった夫がもらっていた年金の4分の3を、遺族年金としてもらえる」と広く言われていますが、併給される国民年金を除いた厚生年金部分のおよそ4分の3というのが正解。この勘違いから、
――遺族年金が想定よりも少なくてショック!
という人は後を絶ちません。また遺族年金に関して広く言われていることが、もうひとつ。「夫を亡くした妻でも、共働きより専業主婦のほうが遺族年金は高くなる」という噂です。
専業主婦の場合、自分がもらっている国民年金と遺族厚生年金をもらうことができます。国民年金が満額受給だとすると、「国民年金」6.8万円+「遺族年金」7.5万円で月14.3万円ほど。
一方、共働き妻。平均的な厚生年金額で、国民年金が満額受給だとすると、「国民年金+厚生年金」10.9万円+「遺族年金」7.5万円で月18.4万円がもらえると考えるでしょう。しかし、遺族厚生年金と老齢厚生年金を受ける権利がある場合、老齢厚生年金は全額支給、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給が停止となります。女性の平均的な年金額だとすると、遺族厚生年金7.5万円のうち、女性の厚生年金部分である4.1万円は支給停止となり、その差額である3.4万円だけ遺族年金としてもらえることになります。
もらえる遺族年金額は専業主婦よりも共働き妻のほうが少なくなるのは事実のようです。さらに遺族年金は非課税なのに対し、老齢年金は課税対象。65歳以上の場合、老齢年金が158万円以上であれば課税され、額面の85~90%の手取り額となり、より年金の減額幅を実感することになるでしょう。
――えっ、遺族年金すくなっ! 何かの間違いではないのですか?
――これでは、働き損じゃないですか?
思わず専業主婦を妬んでしまう共働き妻。その気持ち、分からなくもないですが、不平不満をいったところで「決まりなので」と、どうしようもない答えしか返ってきません。
[参考資料]