近年、よく見聞きする「老後破産」「老後貧困」という言葉。もし「自分には関係ない」と考えている人がいるのであれば、非常に危険です。人生100年時代のいま、たとえ現役時代に高所得であっても、老後破産のリスクはすぐそばに潜んでいます。今回、FP Officeの加藤勇FPが、事例をもとに「高所得者が老後破産危機に陥るパターン」を紹介。加藤FPの助言とあわせてみていきましょう。
「贅沢はカップ酒におでんの出汁割り」…ピーク時の年収は1,400万円、“都落ち”した64歳独身・元銀行員の末路【FPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

気づけば預金は「100万円以下」に…“夢から醒めた”A氏は

収支のバランスが取れていないA氏の退職金は、一気に枯渇していきます。

 

そして、64歳の年金受給前、つい退職金がゼロに。現預金にはすでに500万円しか残っていませんでした。これまで現実から目を背けていたA氏でしたが、この状況はさすがにマズイと感じたそうです。

 

まずは節約をはじめてみたものの、どうにも続かずストレスがたまる。どうすればいいかわからないと嘆く間に、預金残高はみるみる減っていく……こんな状況でも、派手なイメージを保ってきたA氏は知り合いに相談することができなかったそうです。結局、第三者の目線から冷静な判断と助言が欲しいと考え、筆者のところへ相談に訪れたということでした。

 

A氏からここまでの経緯を聞いた筆者は、A氏の家計改善に向け、まずは「さまざまなことを記録づけしてください」と伝えました。

 

日々のお金の出入りのみならず、生活状況や、あるいは飲酒量やゴルフの結果にいたるまでです。

 

A氏は「金銭の収支だけなら記録する意味はあると理解できるが、生活の状況や飲酒量になんの意味があるんだ? まじめに考えてくれているのか?」と、当初は筆者の依頼に懐疑的でした。しかし、まずは実践してくださいとお願いし、記録づけを続けてもらいました。

 

すると、この記録づけによって、さまざまなことが見えてきたのです。

 

Aさんの生活状況を把握することで、どこに無駄遣いをする隙があるのかが分かりました。また、飲酒量を確認したことにより、いつストレスがかかっており、お酒にお金をかけてしまうのかなども分かりました。ゴルフの結果はスコアに目を向けるのではなく、どの頻度でゴルフを楽しんでいるのかを把握するのが狙いでした。

 

家計改善というと、一見、家計簿のイメージがありますが、A氏においては生活スタイルそのものの見直しが必要と筆者は考えました。

 

その狙いどおり、A氏は自身の生活スタイルを客観的に認識することで、改めて自身の浪費癖を認識。具体的な節約目標をたてながら、生活水準や浪費癖を改善させることに成功しました。