高齢になる親と離れて暮らしていると、「元気でいるかな」「体調を壊していないかな」など、不安になるもの。そこで医療や介護が充実する「老人ホームへの入居」が有効な選択肢になるでしょう。ただひとつ問題が、実家=親の自宅近くの施設にするか、それとも面会に行きやすい子の自宅近くにするか。果たして、どちらが良いのでしょうか。みていきましょう。
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高齢の親…離れて暮らしていると、とにかく心配

――高齢になる母(父)、元気でやっているかな

 

そんな心配を日々抱えている人は多いのではないでしょうか。特に気軽に実家に行ける距離にない人にとって、高齢の親の健康は、常に気になるもの。

 

一般社団法人ウェルネス総合研究所が40~60代の離れて暮らす親がいる男女に行った『高齢の親の健康サポートに関する意識と実態調査』によると、「離れて暮らす親の健康」について「心配する」が76.2%。一方でそんな親に対しサポートできているかといえば、67.8%が「できていない」と回答。さらにサポートしている人たちも、「もっと早くサポートすべきだった」と答えています。

 

*よく心配する…24.2%、ときどき心配する…52.0%の合計

 

親を心配に思っても何もできず、という人が多数派です。

 

離れて暮らす親に健康のためのサポートをしている人たちに具体的に何をしているのか聞いたところ、最も多かったのが「こまめに会いに行く」で61.7%。「こまめに連絡する」59.8%、「介護施設・通院のサポート」25.2%、「医師との連絡・調整」16.8%、「行政面でのサポートの連絡・調整」16.5%と続きます。

 

こうしてみると、離れて暮らしていてもできるようなサポートは色々。実際にサポートを行っている人たちは、何か目的をもってやっているというよりも、こまめな連絡で近況を把握したうえで、その時に応じて対応しているようです。心配をするばかりで何もできていない、という人は、まずは近況を尋ねる連絡の頻度を増やしてみるのが効果的かもしれません。

 

東京在住の40代の女性も、実家が岩手と遠方で、1人暮らしをする70代の父への心配が尽きないといいます。「スマホなんて分からん」と口癖の父親に、帰省のたびにラインでテキストや写真、スタンプを送る方法をレクチャーしたところ、父親から何かにつけて連絡が来るようになったといいます。

 

――意味の分からないスタンプばかり

 

と女性。ただ父親が元気でやっていることがこまめに分かるようになり、安心感が増したといいます。

 

事件は昨年の冬のこと。父親が足を骨折し、1ヵ月のギプス生活。大雪が降ることもあるのに、雪かきもできず、どうしたものかと悩んだといいます。幸い、近所の人が実家の周辺も雪かきをしてくれて、家が雪に埋まることはなかったといいますが、改めて「高齢の父親の1人暮らしは大変」と思い知ったとか。

 

そこで父親に「東京に引っ越さない? 良い老人ホームがあるの」と提案したといいます。