高齢になる親と離れて暮らしていると、「元気でいるかな」「体調を壊していないかな」など、不安になるもの。そこで医療や介護が充実する「老人ホームへの入居」が有効な選択肢になるでしょう。ただひとつ問題が、実家=親の自宅近くの施設にするか、それとも面会に行きやすい子の自宅近くにするか。果たして、どちらが良いのでしょうか。みていきましょう。
年金月16万円・東北在住の70代父「東京の老人ホームに入居」…〈2ヵ月後〉40代長女が驚いた「父の激変ぶり」

仕事が繁忙期で面会に行けず…2ヵ月ぶりに会った父は

後日談として、女性の父親が老人ホームに入居してから、しばらくは仕事が忙しく、なかなか面会にいくことができず、電話やラインで話すばかりだったと女性。事件は、繁忙期が終わり、入居後、初めて父親に面会に行った2ヵ月後。驚いたのが、父親の激変ぶりだったといいます。

 

――どうしたの、お父さん! なんかすごく痩せたみたい

 

頬はこけ、顔色はどこかさえず……口うるさかった父親に、まったく覇気が感じられない。どうしたのか、父親に話を聞いたといいますが、最初は何も話してくれなかったといいます。それでも普段の状況を聞いていくと、「東京の人とは話が合わないんだ」とポツリ。

 

ホームは入居者もスタッフも和気あいあいとした雰囲気。しかし父親は自室に閉じこもり、ほかの入居者とはほとんど口をきかないといいます。最初は、父親も積極的にほかの入居者とコミュニケーションをとろうと努力していたといいますが、これまで住んできた世界が違うのか、とにかく話が合わず、会話に入ることができなかったといいます。そのうち部屋から出るのも億劫になり、食事も喉を通らなくなったといいます。

 

遠く離れて住む親子。高齢となり、老人ホームへの入居が選択肢になることも珍しくはありません。そのとき、慣れ親しんだ実家(親の自宅)近くのホームに入るか、それとも子の家から近いホームに入るか、大きく二択になるでしょう。

 

しかし、不慣れな地に引っ越してきた結果、体調を崩したり、病気等が進行してしまったりということも珍しくはありません。特に高齢者は、新しい土地への順応度が、若い人よりも落ちているもの。この近くに住むのが本当に最良なのか、それぞれ異なるでしょうから、しっかりと親子で話し合うことが重要です。

 

[関連資料]

一般社団法人ウェルネス総合研究所『高齢の親の健康サポートに関する意識と実態調査』

厚生労働省『令和元年度老人保健健康増進等事業 高齢者向け住まいにおける運営実態の多様化に関する実態調査研究』