夫婦とはいえ、若いうちは「万が一の備え」に対して十分とはいえないもの。そんな二人に不幸が突然の不幸、当然、きちんと備えていなかったことを後悔することになります。みていきましょう。
月収6万円の35歳パート妻、月収34万円の内縁夫が急逝「小5長男とどう生きていけば…」と絶望する、あまりに少ない〈遺族年金額〉

会社員の35歳内縁の夫を亡くした妻…受け取れる「遺族年金額」

遺族年金には、国民年金の被保険者が亡くなった際の「遺族基礎年金」と、厚生年金の被保険者である会社員等が亡くなった際の「遺族厚生年金」があります。

 

仮に前出の内縁の夫が、20~35歳まで平均的な会社員として働き、国民年金保険料の滞納などもないと仮定。ほか細かな受給要件もクリアしているとして、どれくらいの遺族年金を受け取ることができるのでしょうか。

 

まず遺族基礎年金。受け取れるのは「795,000円 + 子の加算額」。加算額は1人目および2人目の子が各228,700円、3人目以降が各76,200円。内縁の妻である女性が受け取れる遺族基礎年金は、102万3,700円です。

 

次に遺族厚生年金。死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額であり、報酬比例部分の計算において、厚生年金の被保険者期間が300ヵ月未満の場合は、300ヵ月とみなして計算します。35歳男性正社員の平均給与は月収で34.1万円、年収で573.4万円。20~35歳まで平均的な給与を手にしてきたとすると、残された家族が受け取れる遺族厚生年金は46.8万円となります。

 

*厚生労働省『令和4年 賃金構造基本統計調査』より

 

つまり、内縁の妻である女性は遺族基礎年金と遺族厚生年金の合計で年間150万円、月12.5万円ほど手にできる計算です。遺族年金は課税の対象外なので、額面=手取り額となります。

 

――小5の長男と、どう生きていけばいいですか?

 

なんとも絶望的な未来に、心が折れてしまったという女性。ちなみに、遺族年金のほかにも、児童扶養手当など、さまざまな公的なサポートも含めれば、月々の収入は20万円を超えそう。東京都23区「40代以下の大人1名と小学生の2人世帯」の生活保護費は21万4,960円(生活扶助額、住宅扶助基準額のほか、母子加算、児童養育加算を足した金額)なので、ギリギリの水準です。どちらにせよ、この金額で未来を見通せるとは言い難く、夫を急に亡くした女性が悲観するのも仕方がないことかもしれません。

 

後日談。キャリアの中断が長く不安視していましたが、女性は15年ぶりに会社員(正社員)に。母子、ふたりで新しい生活をスタートさせているといいます。