日本の名目GDP「30年で1.3倍成長」だが、世界は…
国内で一定期間の間に生産されたモノやサービスの付加価値の合計金額である「国内総生産(GDP)」。つまり「日本が儲けたお金」のことですが、日本のGDPで半分以上を占めるのが「消費」。ほかGDPは国内にある企業が行う投資の合計金額である「民需」と、政府が使ったお金である「政府支出」、輸出額から輸入額を差し引いた「貿易収入」、この4つをすべて足したものがGDPとなります。
さらにGDPには「名目GDP」と「実質GDP」があります。前者はそのままの金額を算出したもの、後者は物価変動を考慮したものになります。
GDPは在日外国人による消費が含まれる一方で、外国に行った日本人の消費は含まれていません。そこで日本人だけの儲けを表す指標が、「国民総所得(GNI)」です。これは在日外国人の所得は除外し、国外での日本人の所得を含むものです。
以前は日本人が生み出した付加価値の合計金額である「国民総生産(GNP)」という指標が使われていましたが、グローバル化が進むなかでは、一国の経済活動を正確に把握することができないと、2001年以降、内閣府の主要統計のひとつである国民経済計算でもGDPが用いられるようになりました。また1993年に国際連合がより個人の経済的な豊かさを捉えやすいという理由から、GNPからGNIへと統計基準を変更したことをきっかけに、ほかの国際機関でもGNIが用いられるようになりました。
日本の立ち位置を確認してみましょう。名目GDPトップは「アメリカ」で25兆7,441億米ドル。続く「中国」は17兆9,631億米ドル。3位は「日本」で4兆2,321億米ドル。
【世界「名目GDP」トップ10】
1位「米国」25,744,100
2位「中国」17,963,171
3位「日本」4,232,174
4位「ドイツ」4,076,924
5位「インド」3,465,541
6位「イギリス」3,089,073
7位「フランス」2,775,317
8位「ロシア」2,240,422
9位「カナダ」2,137,939
10位「イタリア」2,046,953
出所:国連(2022年)
経年でみていくと、1990年。1位「米国」2位「日本」3位「ドイツ」。中国は世界11位でした。また「米国」と「日本」は2.8兆米ドルほどの差でした。「中国」が世界4位になったのが2006年、世界3位になったのは2007年、そして「日本」を逆転して世界2位になったのは2010年。このとき「米国」は15兆米ドル、「中国」は6兆米ドルでした。
日本はこの30年余りで、1.3倍程度の成長だったのに対し、米国は4.3倍、中国に至っては45.5倍にも成長しました。またIMFは、2023年の日本の名目GDPがドイツに逆転されて世界4位になるという見通しを示し話題になりましたが、ドイツはこの30年で2.3倍に成長。やはり日本の低成長が逆に際立つカタチになっています。