価格高騰が続く首都圏の新築マンション市場。中古市場同様で、特に、利便性の高いタワーマンションなどは価格が割高であっても依然人気です。景観の美しさ、日当たりの良さ、共用施設の充実など、多くのメリットが挙げられるタワマン。高い人気も納得ですが、なかには「タワマンに住んで後悔する人」も……いったいなぜか、具体的な事例をもとに、石川亜希子AFPが解説します。
平屋が恋しい…年金月18万円で「湾岸エリアのタワマン」に住む、60代夫婦の嘆き【FPが解説】

一方、娘は大喜び…浮かれた娘「私、タワマンに住みたい!」

近頃両親の元気がないことに気づいた長女のCさんは、ある朝2人に尋ねてみました。

 

「ねえ、最近なにかあったの?」

 

A夫妻が一連の話をすると、貧しいと思っていた自分の家がお金持ちだったことにCさんはびっくり。古い平屋に嫌気がさしていたCさんは、「なんだ、落ち込むことないじゃない。そんなにお金があるなら、もっときれいな家に引っ越そうよ! 私、タワマンに住みたい!」と言い出します。

 

タワマン暮らしなんて考えたこともなかったA夫妻。「この子はいきなりなにを言っているんだ……」娘の提案に呆れ気味でした。

 

その後もしばらく預金のまま放置していましたが、Aさんは銀行の営業担当者と話をしているうちに、預金を放置しておくのはもったいないのではないか、と思うようになったそうです。とはいえ、いきなり投資をはじめるのは気が引ける……そんななか、娘の提案を思い出しました。

 

そして、A夫妻は話し合いを重ねるなかで「長女の将来のためにも、資産価値となる不動産を購入するのもいいかもしれない」と考えるようになったのでした。

 

両親の変化に気づいたCさんは、必死に説得。また、Cさんはインターネットで情報収集を重ねたところ、中古であれば手の届く物件もあることがわかりました。そこで、Cさんは両親を連れて内見を重ね、湾岸エリアに好みの物件を発見。すぐに契約し、実家の土地も売却。トントン拍子で、晴れてタワマンの住民となったのでした。

 

“至れり尽くせり”のタワマン暮らしだったが…

A家が住み始めたタワマンはリビングからの眺めが非常によく、平屋暮らしのころよりワンランク上の人間になったような気がしました。立地も駅に近く、商業施設も揃っているため生活にはとても便利で、セキュリティについても申し分ありません。

 

ゴミ出しも24時間可能で、シンクの下には生ゴミを粉砕して排水管に流してくれるディスポーザーまでついています。クリーニングや郵便物の発送など、困ったときはコンシェルジュに頼ることもでき、この充実したサービスに一家3人大喜びです。

 

しかし、月日が経つにつれ、Aさんはしだいにストレスが溜まるようになりました。