価格高騰が続く首都圏の新築マンション市場。中古市場同様で、特に、利便性の高いタワーマンションなどは価格が割高であっても依然人気です。景観の美しさ、日当たりの良さ、共用施設の充実など、多くのメリットが挙げられるタワマン。高い人気も納得ですが、なかには「タワマンに住んで後悔する人」も……いったいなぜか、具体的な事例をもとに、石川亜希子AFPが解説します。
平屋が恋しい…年金月18万円で「湾岸エリアのタワマン」に住む、60代夫婦の嘆き【FPが解説】

A夫妻は、わずか1年で「タワマン売却」を決断

娘が幸せそうだからとなんとか我慢していたA夫妻でしたが、タワマン特有の「ランニングコスト」にも悩まされていました。

 

管理費や修繕積立金はもちろん、日当たりがよすぎてエアコンの稼働時間が劇的に増え、電気代も平屋に住んでいたころに比べて2倍近くに増大。加えて、娘へのお小遣いもあり、毎月の収支は赤字に転落しました。

 

とどめは、管理会社からの「修繕積立金の増額を検討するお知らせ」でした。まだ決定というわけではありませんでしたが、これ以上支出が増えることを思うと、とても堪えられそうにありません。

 

心穏やかな老後を過ごすという意味でも、Aさんは妻と相談し、タワマンの売却を決意しました。

 

当然、長女のCさんは大反対でしたが、なんとか説得し、タワマンに引っ越してから1年後のいま、再度引っ越し先を探しているところです。

 

タワマン自体が悪いわけではないが…「住んだあとの暮らし」の想像が大切

タワマンは立地がよくサービスが充実しているなどメリットが多い一方で、実際に住んでみないとわからないデメリットも多いです。

 

ランニングコストがかさむなどの経済的なデメリットのほか、人によっては生活形態が変わってしまうことによる精神的な負担もあります。

 

そのため、購入を検討する際にはよく調べ、「住んだあとの暮らし」をよく想像してから決断することをおすすめします。

 

特に定年後、住み慣れた自宅を手放す場合には、「自分が理想とする豊かな老後とはどんな日々なのか」を改めて考えてみることで、理想の住まいが見えてくるのではないでしょうか。

 

 

石川 亜希子

AFP