首都圏模試センターによると、首都圏の中学受験者数は推定5万2,400人ほどいるそうです。これは、首都圏の小学6年生のおよそ4.7人に1人が中学受験をしている計算になります。しかし、学費や塾代などなにかとお金がかかる中学受験は「コスパが悪い」といわれることも少なくありません。にもかかわらず、受験者が後を絶たないのはなぜなのか……自身の長男も私立中学に通う石川亜希子AFPが解説します。
私立の学習費は平均で年間約143万円→「中学受験はコスパが悪い」といわれるが…それでも受験させる親が後を絶たないワケ【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

中学受験は「コスパが悪い」? 

文部科学省の「令和3年度子供の学習費調査」によると、中学校3年間でかかる学習費は次のようになっています。

 

■公立中学校

……約 50万1,000円(学校教育費(注1)約  13万2,000円+学校外活動費(注2)約36万9,000円)

 

■私立中学校

……約142万9,000円(学校教育費約106万1,000円+学校外活動費約36万8,000円)

 

(注1) 学校教育費……授業料や学校納付金、修学旅行費、教材費など学校にかかる費用のこと。

(注2) 学校外活動費……塾代や習い事の月謝など、学校以外でかかってくる教育費のこと。



上記をみると、年間で約92万8,000円の差があり、3年間で278万4,000円と、300万円もの差になることがわかります。

 

なお、高校については下記のとおり、年間で54万1,000円、3年間で162万3,000円の差があります。

 

■公立高等学校(全日制)
……約 51万3,000円(学校教育費約30万9,000円+学校外活動費約20万4,000円)

 

■私立高等学校(全日制)
……約105万4,000円(学校教育費約75万円+学校外活動費約30万4,000円)

 

また、塾代などをはじめとした学校外活動費にも、進路によって違いがあるようです。

 

出所:文部科学省報道発表「令和3年度子供の学習費調査の結果を公表します」
[図表]1年間にかかる学校外活動費(私立・公立別) 出所:文部科学省報道発表「令和3年度子供の学習費調査の結果を公表します」

 

したがって、6年間でかかる教育費は、概算ですが下記のようにまとめることができます。

 

1.公立中学(塾なし)から公立高校(塾なし)に進学した場合……132万3,000円

2.公立中学(+塾)から公立高校(+塾)に進学した場合……304万2,000円

3.公立中学(+塾)から私立高校(+塾)に進学した場合……466万5,000円

4.私立中学(塾なし)から私立高校(塾なし)に進学した場合……591万9,000円

5.私立中学(塾なし)から私立高校(+塾)に進学した場合……666万2,000円

6.私立中学(+塾)から私立高校(+塾)に進学した場合……744万9,000円

 

上記の3と4を比較すると、私立中学に進学しても6年間塾に通わなければ、公立中学から私立高校に進学し6年間塾に通っていた場合と比べて教育費の差は125万4,000円、月額わずか1万7,000円程度の差になります。大学付属の中高一貫校が人気の理由も頷けます。