慎ましく暮らしてきたのに…突如大金が舞い込み、困惑するA夫妻
Aさん(68歳)は、妻Bさん(67歳)、長女Cさん(33歳)の3人家族です。住まいは東京の下町にある、築50年の平屋。これはAさんの実家で、早くに亡くなったAさんの両親が建てたものです。
Aさんは60歳で定年退職していますが、退職時の年収は500万円ほどでした。現在は夫婦あわせて月約18万円の年金で暮らしています。
現在は住宅費がかかっていないため、なんとか毎月赤字にならずに暮らせていますが、家はそろそろリフォームが必要な状態です。さらに、60代後半と高齢になってきたA夫妻は、いつまで健康でいられるかわかりません。預貯金は2,500万円ほどあるものの、不安な気持ちを抱える日々でした。
一方、長女のCさんは、数年前に会社を退職したあと海外にワーキングホリデーへ。現在はすでに帰国しており、非正規で働いています。
家に毎月2万円入れているとはいえ、アクティブなCさんは“推し活”に熱心で、たびたび地方まで遠征に出かけます。結婚の予定もなさそうで、A夫妻は、「ずっと非正規のままで正社員になる気はないのか」「今後どういう人生を歩みたいのか」など気になることがたくさんありましたが、本人には聞けずじまいでした。
突然の大金に困惑する夫婦
そんなとき、妻Bさんの父親が95歳で亡くなりました。実家はBさんの兄が取り仕切っていてBさんはなにも知らされていませんでしたが、埼玉県の郊外で地主だったBさんの父はかなりの資産を残していました。
土地はBさんの兄が相続したものの、Bさん自身も、株式や投資信託、預貯金など合わせて約1億円もの資産を相続することとなったのです。
これまで慎ましく暮らしてきたA夫妻は、突然大金を相続する事態に恐ろしくなってしまいました。
株式などはよくわからないので、相続時にお世話になった税理士に頼んで現金化したのですが、遺産が入金された銀行やBさんの父親が口座を開設していた証券会社から、毎日のようにセールスの電話がかかってきます。自宅まで訪ねてくる人もおり、元来、人がいいA夫妻は、セールスを断るのも一苦労です。神経をすり減らす日々が続きました。