シングルマザーの貧困が社会問題化している昨今。収入の少なさに物価高騰も重なり、母と子でレジャーに行くといった、ほんの少しの贅沢をすることも厳しいという現実があるようです。本記事では、Aさんの事例とともに、シングルマザーの家計の実態やいざというときに助けになる「生活保護」について、FP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
手取り月14万円の29歳・シングルマザー、“生活保護”を羨むワケ…「娘をディズニーランドに連れていきたい」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

ひとり親世帯の家計、リアルな実態

厚生労働省が公表した「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」の結果は下記のようになっており、母子世帯の年間収入は平均272万円と、家計は決して楽ではないことが見て取れます。

 

[図表1]母子世帯と父子世帯の状況

 

続けて、同調査結果での「ひとり親が困っていること」も見てみましょう。

 

[図表2]ひとり親本人が困っていることの内訳(最も困っていること)

 

これを見ると、やはり母子世帯では家計での悩みが大きく、次いで仕事、自分の健康へと続いているのがわかります。一人の収入で家計を支えているため、身体を壊してしまうと家計は一気にひっ迫してしまいます。その場合は、行政に相談したり、「生活保護」に頼ることも必要です。

いざというときの「生活保護」を受ける条件

生活保護は、生活に困窮したときに受けられる国民の権利です。病気やケガで働くことができなくなってしまったり、収入があっても生活できなくなったりした場合は利用を検討しましょう。

 

厚生労働省は、生活保護が受けられる人として、次のように掲げています。

 

○生活保護は、資産、能力等あらゆるものを活用することを前提として必要な保護が行われます(以下のような状態の方が対象となります)。
・不動産、自動車、預貯金等のうち、ただちに活用できる資産がない。
※不動産、自動車は例外的に保有が認められる場合があります。
・就労できない、又は就労していても必要な生活費を得られない。
・年金、手当等の社会保障給付の活用をしても必要な生活費を得られない。

 

○扶養義務者からの扶養は保護に優先されます。
※保護の申請が行われた場合に、夫婦、中学3年生以下の子の親は重点的な調査の対象として、福祉事務所のケースワーカーが原則として実際に会って(対象者が管外に居住する場合には、書面で)扶養できないか照会します。その他の扶養義務者については書面での照会を行います(「扶養義務の履行が期待できない者」と判断された場合には、扶養照会を行わない場合があります)。

 

また、支給される保護費については、次のように算出します。

 

○必要な生活費は、年齢、世帯の人数等により定められており(最低生活費)、最低生活費以下の収入の場合に生活保護を受給できます。