高齢者の住まいとして存在感が増している「老人ホーム」。なかでも特別養護老人ホーム、いわゆる「特養」は、コストが安いことからも人気です。一方で入所待ちが当たり前で、1年以上も「アキ」を待っているというケースも珍しくはありません。そんな特養の入所待ち。都道府県別に地域の実情をみていきましょう。
都道府県別「特養入所待機者」調査…全国で25万人!「入りたくても入れない」地域の実情

人気の「特養」月額費用を年金だけで払える可能性も

特別養護老人ホーム、いわゆる「特養」は、介護保険サービスが適用される公的施設の1つで、介護と生活援助サービスを提供します。介護保険制度上は「介護老人福祉施設」と呼ばれ、原則「年齢65歳以上」「要介護3以上」が入居条件です。ただし、認知症や知的障害、精神障害により日常生活に支障をきたす症状や行動が見られる場合などは、要介護1や要介護2でも特例として入所が可能になる場合があります。

 

そんな特養は、大きく3つに分類されます。

 

まず「広域型」。定員が30人以上で、どこに居住していても入所申し込みができます。「地域密着型」は定員が30人未満で、施設のある市区町村に住民票のある人だけが申し込むことができます。「地域サポート型」は、在宅介護対象者で、見守りなどを提供する施設です。

 

特養に入所する際のコストは、個室や多床室(相部屋)によって、自己負担額が変わります。

 

要介護5の人で多床室を利用した場合、「施設サービス費」1割負担で約2.5万円。「居住費」約2.6万円、「食費」約4.3万円、「日常生活費」約1.0万円、合計約10.4万円。一方、同じ要介護5で個室(ユニット型)を利用した場合、「施設サービス費」の1割負担で約2.8万円、「居住費」約6.0万円、「食費」約4.3万円、「日常生活費」1.0万円、合計14.1万円。4万円ほどの差があるとしています。

 

それでも民間の「有料老人ホーム」などと比べるとかなり割安。入所一時金も基本的になく、年金だけで月額費用を賄える可能性も十分にあります。

 

また特養は看取りに対応している施設も多く、長期入所が可能。また特養の介護職員の配置基準は入所者3人に対して1人。24時間体制の介護を基本としているので、比較的手厚い介護を受けられるといえるでしょう。そのため、昨今は「終の棲家」としても人気が高まっています。