身近にアクセスできる詐欺まがいの投資話
ここで、23年10月に筆者らが独自に実施した投資詐欺の手口に関する調査結果を紹介します。1つ目は、投資詐欺と接点を持った経路についてです。
投資詐欺に接触した人のうち、もっとも多かった接触経路は「メール」(31.2%)でした。2番目以降には、「SNS」(29.4%)、「Webサイト」(28.2%)が続きます。田山さんのケースではSNSでPAMMに興味を持ち始め、最終的にWebサイトからPAMMへの投資を決めていました。これは、投資詐欺に遭遇する典型的な流れの1つだったといえるでしょう。
続いて、接触した投資詐欺による想定被害金額についての調査結果です。
金額を回答した人のうち、もっとも多かったのが「50万円~100万円未満」(16.5%)でした。これに「10万円~50万円未満」(15.2%)、「100万円~300万円未満」(12.3%)で続いています。ニュースなどでは、もっと大きな金額の詐欺被害が報じられることもあります。しかし、実はこういった取り返しのつかない金額だけではなく、数十万円程度の被害も身近に数多く起こっていることが推測されます。
あやしい投資情報に騙されないために意識すべき4つのポイント
今回は、投資知識がないなかでSNSの投稿からPAMMに興味を持ち、貯金を失った独身女性のエピソードを紹介しました。
インターネットが発達した現在、誰でも手軽に優良な情報にアクセスできるようになったのと同時に、真偽の不確かな情報に接する機会も増えています。最後に、今回のエピソードを踏まえて意識しておくべきポイントを、4つ紹介します。
日本において、投資の運用代行を行うには金融庁で投資運用業の登録を受ける必要があります。登録されていない業者は正規の手続きを踏まずに運営を行っており、投資家が不当な損害を受けるリスクが高いと考えられます。適切な登録を確認することは、安全に投資を行うための第一歩です。
参考:金融庁「免許・許可・登録等を受けている業者一覧 - 金融商品取引業者登録一覧」
・海外の無登録業者は詐欺に利用されやすい
PAMMのプラットフォームを提供する海外の無登録業者は、日本の法律に基づく監督を受けていません。そのため、これらの業者には透明性が欠けており、詐欺に利用されるリスクが高い環境であることが少なくありません。不当に不利益を被らないためにも、信頼性の低い環境での投資は避けるようにしましょう。
・資産を増やすには投資リテラシーが欠かせない
PAMMサービスは、自分ではなにも考えずに、他人にお金を預けて運用してもらう仕組みです。しかし、これでは自分で市場を理解して投資判断を下すスキルを身に付けることはできません。資産を増やすには投資リテラシーが欠かせません。楽に儲けようとするのではなく、良質な情報や教材を通して、自分の投資スキルを高め続けることを意識しましょう。
・なぜウマい話を持ちかけられているのか考えよう
PAMMに限らず、見知らぬ人が高利回りの運用話を紹介してくれるのは、紹介する人が利益を得られるからです。彼らがどのように利益を得ようとしているのか、理解した上でその話を吟味する必要があります。ウマい話には必ず裏があるものです。
あやしい儲け話から自分の資産を守るためには、常に情報の信頼性を確認し、必要であれば専門家の意見を求めることが重要です。特定の広告や記事を妄信することなく、必ず複数の信頼できる情報源をチェックしましょう。
正しい情報に基づいて構造を理解することで、初めて適切な投資判断が可能になります。