男性も女性も、未婚率は年々増える傾向にあります。多様性の時代となり、人によっていろいろな生き方が尊重されるなか、お一人さまの老後で気になるのは「お金」の問題です。特に女性の場合は、男性に比べ受け取る老齢年金が少なく、老後に生活が困窮する人も少なくありません。そこで本記事では、女性の高齢者貧困の実態についてFP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
Sサイズのポテトを3人でシェアするフードコートの高齢者女性たち…お一人さま女性の年金「平均月10万円」、老後貧困の深刻な実態【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

ショッピングセンターのベンチに座る70代男性

70歳になるAさんは、3年前に妻を亡くしてからは一人暮らしをしています。

 

現役時代は仕事一筋で頑張ってきましたが、特に趣味もなく、リタイア後はすることもありません。

 

家にいても寂しく、自宅でテレビばかり見ているのも飽きてしまい、人恋しくなってついつい近くのショッピングセンターに足が向いてしまいます。

 

誰としゃべるわけでもありませんが、子ども連れの若い夫婦を見ると自分の若いころを思い出したり、子どもの小さいころを思い出したりすることで気持ちを紛らわすことができるそうです。

 

「生活は楽ではありませんが、以前に大病をしたこともありアルバイトもできません。人との関わりがないので、お金がかからずに長時間いられる場所として、たどり着いたのがここです」とAさんは言います。

フードコートをたまり場にしている高齢者女性

男性だけでなく、女性の高齢者もフードコートやファストフード店で時間を潰しています。女性の場合は1人だけとは限らず、3~4人でおしゃべりしている人もいます。また、一緒にいるのは単身世帯の女性だけではないようです。

 

「こうやって集まっておしゃべりしていると寂しさが紛れるのよ」

 

「旦那と家に居たくないのよ」

 

一見楽しそうですが、フードコートもファストフード店もメニューの値上がりのせいか、女性たちの手元は寂しいものがあります。それぞれがコーヒー1杯だけか無料の水だけ、という人もいますし、3人でひとつのSサイズのポテトをつまみ合って、というグループもいます。

 

値上げは当然、食品だけではありません。

 

「家は寒いけれど、暖房代が高すぎて……でも我慢していたら凍死しちゃうわ。ここに来れば暖かくて家にいるより節約になるし」

 

精神的な孤独と懐の寂しさを埋める場としてフードコートが選ばれているでしょうか。