フードコートやファストフード店にたむろする孤独な老人
昔と比べて、商業施設のフードコートやファストフード店で高齢者の姿をよく見かけるようになりました。なぜ、このような高齢者が増えたのでしょうか? 原因のひとつに世帯構造の変化があげられます。
厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、単身世帯の高齢者世帯が増えています。以下の[図表1]をご覧ください。一人暮らしにより孤独な状況に陥りやすい老人が増えているのがわかる結果となっています。
年金が少なく、生活に余裕がないお一人さま高齢者
令和3年度末における厚生年金保険(第1号)の老齢給付の受給者の平均年金月額は、併給する老齢基礎年金の額を含めて、老齢年金が14万5,665円となっています。
■ 厚生年金保険(第1号) 受給者平均年金月額の推移
平成29年度 14万7,051円
平成30年度 14万5,865円
令和 元年度 14万6,162円
令和 2年度 14万6,145円
令和 3年度 14万5,665円
厚生労働省年金局「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より**
年金額は増えてはいませんが、生活コストは世帯人数が少ないと割高になる傾向があるため、一人暮らしは経済的に余裕がなくなってきます。特に家計支出のなかでも家賃などの住居費は大きな負担になると考えられます。
令和3年版高齢社会白書によると、65歳以上の世帯のうち持ち家でない借家住まいの割合は約18%(公営の借家:6.5%、民間の借家;11.1%)となっていますが、単身世帯では約33%(公営の借家:11.6%、民間の借家;21.7%)と高い割合になっているのがわかります。
また、昨年からの食費や光熱費の値上がりも高齢者にとっては負担です。「マクロ経済スライド」で物価上昇率どおりに年金額がアップするわけではありませんから、実質負担は大きくなっていきます。
一人暮らしでも家計に余裕があれば、趣味や旅行など老後の生活を楽しむことができますが、経済的に余裕がないと時間を持て余すだけになってしまいます。そういったことからお金のかからないショッピングセンターなどに足が向く人が増えたのかもしれません。