2022年に成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことにより、18歳・19歳の子も親の同意がなくてもいろいろな契約ができるようになりました。しかしながらその社会経験の乏しさゆえ、詐欺や悪徳商法などの犯罪にあってしまうケースも少なくないようです。本記事ではAさんの事例とともに、若者がターゲットにされるトラブルについてFP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
18歳・東京で私立大学に通い、月10万円のアルバイトを始めた息子…号泣しながら母親を寮に呼んだ「驚愕の理由」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

詐欺や悪徳商法などのターゲットにされる大学生

独立行政法人日本学生支援機構では、学生のトラブルの事例を公開していますが、代表的なものをご紹介します。

 

1.マルチ商法

「通販カタログを配るだけで高収入」といわれ、説明会に参加させる方法です。カタログ等を配り、会員になってもらったり実際に商品を買ったりしてもらえると収入が得られる、というものですが、初めに登録料として数十万円を支払う必要があります。

 

この登録料を支払うために学生ローンを利用させられたり、登録したとしても勧誘がうまくいかなかったりで、結局はローンの返済に苦しまされる結果となるのです。

 

2.高額アルバイトの勧誘

「簡単・高額・短時間」という誘い文句でチラシ配りやチラシ貼りをさせられるものですが、配布のために他人の住居部分に入ることやみだりに張り紙をすることは軽犯罪法で禁じられています。さらにチラシの内容にも問題がある場合は、もっと重い罪に問われることもあります。

 

3.資格商法

街を歩いている際に「無料で免許(資格)が取れる」と誘ってきて、契約したところ、講座は無料でも受講に必要な教材や器材など高額な購入をさせる、という手口です。

きっぱり断る。もし契約してしまったら「クーリング・オフ」

やはり、友人や先輩から誘われると断り切れずにトラブルに巻き込まれてしまうケースが多いようです。民法では口約束でも契約は成立してしまい、守らないと法律違反となります。誘われた際はきっぱりと断る勇気も必要ですね。

 

なお、契約が成立してしまった場合は、一定の期間内に契約解除の申し出をすることで解除できる「クーリング・オフ」制度を利用しましょう。ハガキに契約解除の旨を記載して送ることで解約することができます。

 

送付する前にはハガキの両面をコピーして、送るときも「特定記録郵便」など発信の記録が残るようにしましょう。クーリング・オフができる期間は、取引によって変わってきますからご注意ください。

 

・訪問販売/電話勧誘販売/特定継続的役務提供(エステティック、学習塾、結婚紹介など)/宅地建物取引/保険契約:契約書面の受領日から8日間

・連鎖販売取引(マルチ商法)/業務提供誘引販売取引(内職商法など):契約書面の受領日から20日間

 

ただし、店舗販売、通信販売ではクーリング・オフ制度は適用されませんのでご注意ください。