女性の貧困
女性のほうが貧困率が高くなる傾向にあります。日本の高齢者の貧困率は、女性が22.8%で男性が16.4%となっています(男女共同参画白書 令和4年版より)。
前述で単身世帯は生活コストの負担が大きくなる傾向にある、と述べましたが、この単身世帯を性別に見ていくと女性の割合が6割超となっており、75歳以上の後期高齢者の割合も6割を超えています。
女性は非正規労働が多く、正規労働でも男女には賃金格差がありますし、さらに女性は結婚や出産によりいったん退職してしまうと再就職が難しい傾向にあります。厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の平均月額は男性が5万9,040円、女性が5万4,112円となっており、厚生年金の平均月額は男性が16万4,742円、女性が10万3,808円です。現役時代の賃金の差が老後の年金の差につながっています。
今後も女性の貧困は大きな問題になってくるでしょう。
問題は老後期間の後半
ショッピングモールに出かけられるくらい健康ならまだいいのですが、問題は健康を損なったあとになります。
厚生労働省が発表した「令和4年版 厚生労働白書」によると、平均寿命と健康寿命※の差には8年~10年の差があります。この期間は健康上の問題を抱えながら生活することになり、医療や介護の費用の負担もかかってきます。
※ 健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間
こうした期間の資金準備も、老後資金計画としては非常に重要になってきます。
いよいよ団塊世代の人達がすべて後期高齢者となる2025年問題も目前です。2024年度予算案で、医療や介護、年金に充てる社会保障関係費は37兆7,193億円に上り、過去最高を更新しました。増え続ける社会保障費の対応は大きな課題であり、今後も私たちの家計に影響を与えてくることに間違いはありません。
<参考>
*厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」(結果の概要)
**厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
****厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」(結果の概況)
厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
*****厚生労働省「図表2-1-1 平均寿命と健康寿命の推移」
川淵 ゆかり
川淵ゆかり事務所
代表