二世帯住宅には、単独での購入よりも大きな資金を準備できたり、介護・子育てなど、親子間で助け合うことができたりというメリットがあります。しかし、建築費の支払いや税金、土地・建物の相続をめぐるトラブルが起きやすいことも事実。本稿ではファイナンシャルプランナーの南真理氏が、二世帯住宅の建築を検討している家庭の相談事例を基に、トラブルを避けるためのポイントについて解説します。
父名義の土地に二世帯住宅を建てる28歳・サラリーマン…建築費・税金・相続のトラブルを避け、親子円満に暮らすポイントは?【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

二世帯住宅をめぐるトラブルを避けるために

ファイナンシャルプランナーの説明を一通り聞いた後、忠彦さんは最後に質問しました。

 

忠彦さん:「私には姉がいます。二世帯住宅を共有する父が亡くなったら、姉にも二世帯住宅の相続権があるということですよね」

 

FP:「その通りです。お父様が亡くなられたら、相続人はお母様の美奈絵さんとお子さんの忠彦さん、お姉様となります。遺産分割協議といって、相続財産をどう分けるか決まるまで、相続財産は相続人全員の共有財産になります。それに、二世帯住宅を建てる土地がお父様の名義になっていることも配慮すべき点です。もしも、ご両親が亡くなった後も二世帯住宅に住むのであれば、お父様がその旨を遺言に残しておく方法や、生前に二世帯住宅の土地や建物の贈与を受ける方法があります。しかし、それもお父様のお考えによります」

 

忠彦さんは今回聞いた話を家族に伝え、二世帯住宅建築について相談する場を改めて設けることにしました。

 

二世帯住宅を建築するなら、税金を含む建築費を誰がいくら払うのか決めておくことはもちろんのこと、共有者が亡くなった場合など、起こり得ることを事前に話し合っておきましょう。誰よりも近い存在の家族であるからこそ、後回しにせずコミュニケーションをとることが、トラブルを避ける秘訣といえそうです。