子どもには良い教育を受けさせたいと、熱心になる家庭も多いのではないでしょうか。世帯年収が高くなるほど教育にかける金額も高くなる傾向にあり、なかには幼少期からの早期教育に力を入れている家庭もあります。本稿では、ファイナンシャルプランナーの栗山美希氏のもとに相談に訪れた世帯年収1,000万円の家庭を例に挙げ、子どもの教育費について考えます。
5歳の息子を“毎日”習い事に。月謝は10万円…「早期教育」に熱中する年収1,000万円・41歳夫婦の〈重大な見落とし〉とは?【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

“ママ友”の影響で幼児教育に熱中…「子供の選択肢を狭めたくない」

都内在住のサラリーマン・Aさん(41歳)の家庭には5歳の男の子がいます。妻・Bさん(41歳)は出産後、専業主婦となって子育てに専念してきました。

 

「幼少期に人間形成の土台が作られ、脳が発達する。この時期に才能を伸ばせる可能性があるから、早期教育は大事だよ」とママ友から聞いていたBさん。 幼児教育の有無が、小学校入学時の学力や将来の年収にも影響する可能性があることを知り「子どもの将来の選択肢を狭めたくない」という思いから、さまざまな習い事を取り入れるように。スイミングや幼児教室から始まり、いまでは平日の予定がすべて習い事で埋まるほど教育熱心なママになりました。 

 

Aさんの年収は1,000万円ですが、社会保険料や税金を差し引いた手取りは740万円ほど。一方で、どんどん増えた習い事の月謝は合わせて月10万円ほどに上り、さらに昨年マンションを購入したため、毎月18万円の住宅ローンの支払いも始まっています。 

 

幼少期からの教育に力を入れてきたBさんは、このまま高い水準で教育を受けさせるため、息子を充実した学習環境が整っている私立小学校に進学させるつもりです。大学まですべて私立だったとするとかなりの費用がかかることになりますが、小学校から私立に進学させることはできるのでしょうか。 

小学校から大学まで私立に通う場合、教育費の総額は2,200万円超に

小学校から大学まで私立に通う場合、教育費の総額は約2,216万円。1年間の教育費は100万円以上になります。文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果について」をみると小学校がもっとも高く、1年間の教育費は約167万円。公立の小学校と比較すると、私立の教育費は4.7倍に上ります。 

 

参考①文部科学省『令和3年度子供の学習費調査の結果について』 
https://www.mext.go.jp/content/20221220-mxt_chousa01-000026656_1a.pdf 

参考②文部科学省『私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について』
 
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1412031_00004.htm 

参考③文部科学省『国公私立大学の授業料等の推移』 
https://www.mext.go.jp/content/20201225-mxt_sigakujo-000011866_4.pdf 

 

私立の小学校に進むことになれば、いまの習い事の費用以上に教育費の負担が嵩むことになります。そのため、現在は専業主婦であるBさんも、息子の進学のタイミングで働き始めようと考えていました。といっても、息子の教育や習い事のサポートができるよう、扶養内パートで働く予定だといいます。 

 

扶養内パートとはいえ世帯収入は増えるため、夫婦ともに「小学校から私立に進学しても大丈夫だろう」と考えていたのですが、実はあることを見落としていたのです。