老人ホームに入ることは、幸せ/不幸せ…どっち?
年を重ねると次第に身体は不自由になってきますし、日常の家事にひと苦労するときも。高齢者の1人暮らしは何かと不安です。そんなときは「老人ホーム」も有力な選択肢になるでしょう。
しかし、長年暮らした自宅、そして仲の良い家族とも離れ離れ。「老人ホームに入ることは幸せなことなのだろうか」と疑問を抱く人も多いようです。「85歳の母がホームに入ります」と綴った、50代の女性も同様。すでに父(夫)は他界していましたが、最近になって母は「1人は寂しい」「家事をするのはしんどい」というようになったといいます。
女性はすでに義父母と同居。「一緒に住む?」と声をかけるわけにはいきませんでした。そのため母に合うだろうと思う老人ホームを色々と探し、検討開始から半年ほどで、入居する老人ホームが決定したといいます。
そして母、入居の日。母を施設に残し帰るとき、「一緒に暮らせなくてごめんね」と後悔の念で涙してしまったといいます。そこには「老人ホームに入ることは不幸せ」という思いがあったのかもしれないと女性。
実際に入居者は「老人ホームに入ったこと」をどのように思っているのでしょうか。株式会社Speeeが運営する「ケアスル 介護」が行った『介護施設の満足度に関する調査』によると、「老人ホームに入って良かったですか?」の問いに対して、「入って良かった」が36.0%、「まあまあ良かった」が31.2%と、7割弱に達します。「入らなくて良かった」「入って後悔している」は合わせて12.0%。後悔している人もいますが、圧倒的に老人ホームへの入居を前向きに捉えていることがわかります。
また満足度と面会頻度の関係性をみてみると、家族や友人との面会が週1回の人よりも、毎日という人のほうがが「老人ホームに入ってよかった」と考える傾向にあるといいます。
女性の後日談。当初は母も緊張の様子ですが、すぐに施設には慣れたよう。一方で女性は1人暮らしの寂しさを訴えていた母に何もできなかったという後悔の気持ちが消えずにいたといいます。ただある日、女性が「ホームに入ってよかった? いま幸せ?」と聞くと、母は「そりゃ毎日、快適よ」と言ってくれたのだとか。
「親を老人ホームに入れてしまった」などと後悔する必要はまったくありません。ただ入居者は家族に会えないことに、やはり寂しさを感じるのでしょう。親が老人ホームに入居したら終わり、そこからが新しい生活のスタート。寂しい思いをしないよう、可能な限り会いにいくようにしたら、「施設に入って良かったわ」と入居者から笑顔がみられるはずです。
[参考資料]