複雑怪奇な日本の年金制度。そのため「年金、これだけもらえるはず」という目論見が外れることも珍しくはありません。みていきましょう。
年金一括受給で「2,000万円」もらえると意気揚々も…75歳・元サラリーマン「年金5年時効」に絶叫「えっ、聞いてないよ!」 (※写真はイメージです/PIXTA)

大卒の平均的なサラリーマン…60歳で仕事を辞めたら「年金月18万円」

会社員を完全引退し、収入は公的年金だけ……厚生労働省『2022(令和4)年 国民生活基礎調査』によると、そんな「収入=年金のみ」という高齢者が44.0%にのぼるとされています。そのため、老後にどれだけ年金をもらえるかは、切実な問題です。

 

国民年金の受給額は「年金額×(保険料の納付月数÷480ヵ月)」で計算できます。ちなみに令和5年であれば、「79万5,000×(保険料の納付月数÷480ヵ月)」となります。

 

厚生年金の受給額は加入時期によって計算が異なります。

 

①平成15年3月以前:平均標準報酬月額×7.5/1,000×平成15年3月以前の加入月数

②平成15年4月以後:平均標準報酬額×5.769/1,000×平成15年4月以後の加入月数

 

仮に大学卒業後、60歳で定年を迎えるまで均的な給与をもらい続けていたサラリーマン、65歳でもらえる年金は、単純計算で厚生年金が11.35万円ほど。国民年金が満額支給だとすると月17.98万円を手にできると考えられます。

 

*厚生労働省『令和4年 賃金構造基本統計調査』より、男性・大卒の平均値

 

ただこれは額面で、実際の手取り額となると85~90%程度。実際に使えるお金は15.28万~16.18万円ほどになるになります。高齢者一人の月支出は15万円程度といわれているので、平均的な大卒サラリーマンであれば、将来、年金だけで暮らしていけるかも……という予想が立てられるわけです。

 

しかし、これはあくまでも計算上。将来的にいまのように物価高に見舞われることは否定できず、また高齢者の割合がさらに高まる将来は、財政難から年金減はほぼ確実。

 

――老後の生活を支える公的年金、もっと増やすことはできないのだろうか……

 

あります。現状、国民年金は保険料の納付は40年間分。プラスαでもらう方法はあるものの、「私は45年分払うから、その分、多く年金ちょうだい」というわけにはいきません。一方厚生年金は、60歳を過ぎても企業に勤めていて加入資格があるなら70歳到達まで支払うことができ、その分、年金を増やすことができます。

 

仮に60歳で定年を迎え、再雇用の末、非正規社員として65歳まで働いたとしましょう。すると厚生年金部分は12.20万円と8,000円ほどアップ。国民年金と合わせてると、月18.82万円となります。

 

――もっと、もっと年金がないと安心できない!

 

というなら、年金の繰下げ受給の制度を活用するのがひとつの手です。